露、ウクライナの穀物を盗んで「転売」図る 産地偽装し売り込みか 米報道

衛星写真でシリア北西部ラタキアの港に接岸・停泊していることが確認されたロシアの貨物船「マトロス・ポズィニチ」(中央)=10日(AP)
衛星写真でシリア北西部ラタキアの港に接岸・停泊していることが確認されたロシアの貨物船「マトロス・ポズィニチ」(中央)=10日(AP)

【カイロ=佐藤貴生】ロシアが侵略に乗じてウクライナで農作物を盗み、船で積み出して中東やアフリカへの販売を試みている疑いが浮上した。ウクライナはロシアと並ぶ世界有数の穀物の輸出国で、経済や市民生活に打撃を与える狙いとみられる。中東・アフリカには両国の穀物に依存する国が多く、ロシアが盗んだ作物の産地を偽装して売り込みを図るとの見方もある。

米CNNが今月中旬、衛星写真や航跡データを解析した結果として報じた。それによると、ロシアは貨物船3隻を使ってウクライナで盗んだ穀物を積み出している。そのうちの1隻である「マトロス・ポズィニチ」は4月27日、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島近海で海上の位置を知らせる発信機のスイッチを切り、黒海から地中海に出た。

小麦3万トンを積んだ同船はエジプト北部アレクサンドリアやレバノンの首都ベイルートの港を目指したが、両国ともウクライナから「盗品」だという警告を受けていたため、入港を拒否した。両国はロシアとウクライナから調達する小麦が全輸入量の7割以上を占める。

船は今月5日に再び発信機の作動を停止したが、シリア北西部ラタキア港に向かっていることが確認された。ラタキア近郊にはロシア軍が使用する空軍基地がある。

CNNは「積み荷を別の船に移して産地を偽装する狙いがある」との船舶専門家の見方を伝えた。

ウクライナのクレバ外相は11日、マトロス・ポズィニチはシリア沿岸に停泊したと述べ、入港を拒否したエジプトとレバノンに謝意を表明した。

ウクライナ政府はロシアが侵攻を開始した2月下旬以降、少なくとも穀物40万トンが盗まれ、国外に運ばれたとみている。3月の穀物の輸出量は2月の4分の1に減ったといわれる。

ウクライナ南部のヘルソンやザポロジエの貯蔵施設では、ロシア軍のトラックなどが穀物を搬出しているもようだ。ウクライナの穀物輸出の最大規模の拠点である南部オデッサの港はロシア軍の激しい砲撃を受け、機能していない。

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