「キラキラネーム」が話題になって以来、改めて明治の文豪、森鷗外が注目されてきた。「於菟(オットー)」「茉莉(マリー)」「不律(フリッツ)」「杏奴(アンヌ)」「類(ルイ)」。
▼当時としては珍しい名前を3男2女に付けたからだ。独身時代にドイツに留学して本名の「林太郎」に不便を感じた鷗外は、インターナショナルな響きにこだわった。
▼ただ解剖学者となった於菟によると「漢学に於(お)ける造詣と文学に対する熱意とが単なる洋学崇拝の人がしばしばするようなあて字をもって満足しなかった」。寅年生まれだったから、中国の古典にある、虎を意味する於菟としたという(『名附(なづけ)親としての父鷗外』)。