主張

GDP年率1%減 消費を支え物価高克服を

1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値が年率換算で1・0%減と、2四半期ぶりのマイナス成長になった。新型コロナウイルス対応の蔓延(まんえん)防止等重点措置で個人消費が伸びなかったことなどが要因である。

3月下旬に重点措置が全て解除され、本来ならば今は、外食や観光などの需要拡大で足元の景気回復に期待を持てる局面であるはずだ。

ところが、エネルギーや食料品などの輸入価格高騰に伴う国内の物価高が広がり、景気の重しとなっていることが残念である。

ウクライナ危機に伴い、世界経済の混乱は長引きそうだ。ゼロコロナ政策の中国が実施する上海のロックダウン(都市封鎖)も企業の対中事業に打撃を与えた。日本経済は当面、楽観できない状況が続くと認識する必要がある。

政府は先に物価高の緊急対策を講じ、これに伴う令和4年度補正予算案も閣議決定した。困窮世帯の支援を含む対策の円滑な実施はもちろん、景気を腰折れさせない万全の対応が求められる。

特に岸田文雄首相には、コロナ禍と両立する形で人々の消費行動を促す道筋について、もっと明確で丁寧な情報発信を求めたい。物価高克服のため、消費を支える強い意思を示すべきである。

個人消費は前期比0・03%減だった。消費が伸びなかった影響は大きいが、下落幅はわずかだ。第6波が2月にピークを打ち、人流が回復したことも後押ししたのだろう。さらに重点措置などの行動制限がなくなった今、物価高で水を差される事態は避けたい。

円安も相まって輸入コストが上昇し、企業間取引の価格水準を示す企業物価指数の伸びは記録的な高さだ。コスト増を企業努力だけで吸収するのは難しく、消費者への価格転嫁が広がるのもやむを得ない。この点を踏まえて景気にきめ細かく対応すべきである。

企業も踏ん張りどころだ。ただし、原材料などの輸入にはマイナスの円安も、輸出採算や海外事業の収益は高める。過去最高益を更新したトヨタ自動車など円安を追い風に業績を伸ばした上場企業も多く、稼いだ利益を積極的に賃上げや投資などに回してほしい。

企業にとっては、上海のロックダウンで政治リスクが改めて浮き彫りになった対中事業も懸案である。縮小や撤退を含めて事業の再構築を検討すべき時だろう。

会員限定記事会員サービス詳細