読者は「デューク東郷」なる男をご存じか。ピンとくる人の7割は40~60代男性だろう。通称「ゴルゴ13」。劇画家さいとう・たかを氏が生んだ超A級スナイパー、各国語を操り世界を舞台に要人狙撃を請け負うプロの殺し屋だ。同名の作品の連載開始は1968年、実在すれば80歳を超えるはずだが、「ゴルゴ13」は歳(とし)をとらない。彼が外務省の海外安全対策マニュアル(動画版と漫画+解説編)に登場していると聞き、俄然(がぜん)興味を持った。
巷(ちまた)ではウクライナを巡る国家安全保障の議論が盛んだが、海外での日本企業・邦人の安全保障も同じくらい重要だ。ゴルゴ13登場のマニュアルは新型コロナウイルス感染拡大前からあったが、コロナ禍で外務省が再び彼を「起用」し、マニュアルを追加した背景を考えたい。