熱波で不作のインドが禁輸 小麦高騰に拍車

ウクライナの小麦畑=2016年7月(ロイター)
ウクライナの小麦畑=2016年7月(ロイター)

ロシアのウクライナ侵攻に伴う供給不安で上昇基調が続く小麦価格の高騰に拍車がかかっている。主要生産国のインドが14日に輸出禁止に踏み切ったためだ。ロシアやウクライナ産の輸入小麦に依存する中東やアフリカの途上国では既にパンの価格が数倍に跳ね上がっているとされ、一段の小麦相場の上昇で飢餓の拡大も懸念される。小麦の約9割を輸入する日本にも影響が及びかねない状況だ。

週明け16日の米シカゴ市場で小麦の先物価格は急伸し、一時1ブッシェル12・47ドルと前週末に比べ約6%上昇。3月4日につけた過去最高値の1ブッシェル13・40ドルに迫った。ロシアとウクライナの小麦輸出が激減する中、熱波で農作物が打撃を受けたインドが国内供給を優先するため輸出禁止を決めたことで供給不足が深刻化するとの見方が広がった。12日に米農務省が2022~23年度の世界の小麦生産量は7億7480万トンと、前年度より約450万トン減るとの見通しを公表していたことも市場の警戒感を高めた。

こうした中、14日閉幕した主要7カ国(G7)農相会合では、食料安全保障を揺るがす不当な輸出制限の抑止を共同声明に盛り込んだ。これを考慮してか、インドは16日以降、食料安全保障のために小麦を必要とする国への輸出や通関待ちの小麦の輸出を認める方針を示し、輸出禁止措置を一部緩和した。

しかし、小麦先物相場は17日以降も上昇し、市場の供給不安は払拭されていない。「当面は小麦価格の下落材料がなく、高止まりが続く可能性がある」(農林水産省貿易業務課)。

日本では、政府が輸入小麦を製粉会社に売り渡す際の価格が4月から17・3%引き上げられた。

ただ、その主要因は北米の不作で、ウクライナ情勢の影響はほとんど反映されていない。日本の輸入量は米国、カナダ、豪州の3国で100%近くを占めるためだ。だが、今後も小麦相場の国際価格の高止まりが続けば、次回10月に予定される輸入小麦の売り渡し価格がさらに値上がりし、パンやパスタなどの製品値上げにつながる懸念がある。(西村利也)

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