豊かなことばと伸びる力 ~読み聞かせで育む親子のきずな、学びの土台に~

松﨑泰先生(東北大学加齢医学研究所助教)

親子のきずなを育み、学びの土台を作る-。0~2歳の親子の関わりに注目し、家庭での「ことばのやりとり」を促すBaby Kumon(ベビークモン)。絵本など親子で「ことばのやりとり」を楽しめるオリジナル教材が詰まったBaby Kumonセットと、教室の先生と月1回の振り返りを行うBaby Kumonタイムで、親子の楽しいコミュニケーションをサポートする。そして、「ことばのやりとり」を通じて子どもの豊かな語彙(ごい)力を育み、さらに自ら学び、挑戦し、成長していく力につなげていく。

『最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる』(川島隆太監修、松﨑泰・榊浩平著、青春出版社)の著者で、東北大学加齢医学研究所の松﨑泰助教に、読み聞かせが学力などに及ぼす影響をはじめ、コミュニケーション力や自制心といった非認知能力の土台としての重要性について聞いた。

松﨑泰(まつざき・ゆたか) 東北大学加齢医学研究所助教。同大教育学部卒。同大大学院教育学研究科修了。博士(教育学)。小児の脳形態や脳機能データ、認知発達データなどから、子どもの認知機能の発達を明らかにする研究を行っている
松﨑泰(まつざき・ゆたか) 東北大学加齢医学研究所助教。同大教育学部卒。同大大学院教育学研究科修了。博士(教育学)。小児の脳形態や脳機能データ、認知発達データなどから、子どもの認知機能の発達を明らかにする研究を行っている

読書と脳の関係 脳科学からのアドバイス

――科学の視点から、読書の効果をひもといています

「読書は良いこと。本を読むと賢くなる」などといわれ、一般的に読書は推奨されるもの。ただ、科学的な根拠があると、子どもに対してだけではなく、保護者や先生方にも分かりやすい。「読書を推進できるようなデータを出していけたらいいですね」というところから研究が始まりました。

――読書と学力の良い関係とは

仙台市教育委員会が毎年実施する標準学力調査に合わせ、小中学生を対象にアンケートを実施しています。平成29年度調査を基に、小学校5年生から中学校3年生までの約4万人の平日の1日あたりの読書時間(雑誌・漫画などを除く)と4教科(国語、算数・数学、理科、社会)の平均偏差値を検討したことがあります。その結果、読書時間が10分未満の児童・生徒の層の成績が一番低いことがわかりました。最も偏差値が高いのは1~2時間の層でした。全国学力・学習状況調査による報告書(平成25年)などでも、幼少期の読書活動(読み聞かせや図書館利用)が言語の発達と一定の関連があることや、学校入学後の良い成績につながることが示唆されています。

――脳の働きからいえる読書の効果は

読むという行動は、複雑な脳の働きが支えています。簡単に説明すると、目で見える情景は後頭葉に情報が送られます。意味のある単語や文になると、側頭葉が文字を認識して意味をつなげていくような情報処理を行います。さらに複雑な文章や文法読解には言語や論理的思考、短期記憶、想像・想像力、共感などの機能をつかさどる前頭前野も関わり、広範囲の脳領域が活性化することが分かっています。また、日常的な読書習慣は、脳の領域をつなぐ神経線維ネットワークの発達を促し、読解力など言語的な能力を向上させるという研究報告もあります。

――読書と読み聞かせでは、脳の活動は異なるのでしょうか

読み聞かせには、〝やりとり〟が関わってきます。読む側は「楽しんでいるかな?」と気持ちを理解しようとします。読んでもらう側も「これ、知っているよ!」などと反応して、笑ったりします。読書の脳活動とは少し違い、読み聞かせでは、聞くことに関する部位が集まる側頭葉のほか、感情や記憶に関わる領域の大脳辺縁系に強い活動が見られます。

「読み聞かせは、言葉(語彙)だけではなく、視線や身ぶり手ぶりなど、コミュニケーションを豊かにしてくれる」と指摘する松﨑助教
「読み聞かせは、言葉(語彙)だけではなく、視線や身ぶり手ぶりなど、コミュニケーションを豊かにしてくれる」と指摘する松﨑助教

読み聞かせの可能性 Baby Kumonの魅力

――Baby Kumonでは、学ぶ力の土台として、ことばのやりとりに注目しています。

Baby Kumonセットには、親子コミュニケーションを促進できるアイテム、アイデアがそろっています。1号の絵本『まだかな まだかな』(たかいよしかず)でも、日常で出あう人や出来事を分かりやすく描いていて、子どもの反応を引き出してくれそうです。『やりとりぶっく』には、「いない いない ばあ」のめくり遊びなどがあって、まさに親子のやりとりを楽しむことができます。

「昔ながらのわらべ歌や両手で顔を隠してパッと見せる〝いない いない ばあ〟などは、家庭構造の変化や核家族化で伝承されにくい側面もある。そういう意味合いでも、参考になる」と話す
「昔ながらのわらべ歌や両手で顔を隠してパッと見せる〝いない いない ばあ〟などは、家庭構造の変化や核家族化で伝承されにくい側面もある。そういう意味合いでも、参考になる」と話す

――月1回、教室で先生と対面するBaby Kumonタイムも特長のひとつ

新型コロナウイルス感染拡大防止の影響もあり、保護者同士の交流が難しい状況にあります。そういう中で、教室で先生と交流しながら、読み聞かせの進め方や子育てに関するさまざまなアドバイスをもらえるのは貴重な時間です。子育て支援という側面もあると感じました。

――読み聞かせは、子育てストレスを低減するという研究報告もある

山形県長井市と東北大学の共同研究で、約40組の幼児と家族に読み聞かせと親子関係の変化の調査をしたことがあります。8週間の読み聞かせ期間を経て、母親のストレス変化を育児ストレスインデックスという心理検査を用いて調査しました。その結果、全般的な母親の子育てストレスは低下し、特に子どもの行動に対して母親が感じるストレスが減っていることが明らかになりました。さらに調査したところ、読み聞かせ時間の多さとストレス低下には関連があることが浮かび上がりました。詳しいメカニズムはまだ説明できるものではないですが、読み聞かせは言葉の発達に関わってくるので、家庭内のコミュニケーションの促進が感情の安定につながっていることが推測できるのではないでしょうか。

――公文教育研究会では長年、読書運動にも取り組んでいます

「くもんのすいせん図書」の一覧表を初めてみたとき、「子どものころに知りたかった」と思いました。本が大好きな兄は、科学に関する本をいつも読んでいて、私はその反動で幼少期にはまったく本を読みませんでした。小学校4年生のとき、学校の担任教師が教室後方に学級文庫(本棚)を作ってくれ、本のおもしろさを知りました。公文式教室にも、「くもん文庫」という「くもんのすいせん図書」が置かれた本棚があると聞いています。Baby Kumonセットもそうですが、〝読書の道標〟みたいなものがあると、親子や友人らと共通の経験として読書を気軽に楽しんでいけるのではないでしょうか。

⇒「くもんのすいせん図書」について詳しく知りたい方はこちら

読み聞かせの経験 非認知能力の土台に

「スマートフォンの普及で多様なアプリもあるが、低年齢の乳幼児には紙の絵本の世界は分かりやすい。読み聞かせは、相互のやりとりやコミュニケーションのきっかけにもなる」と語る松﨑助教
「スマートフォンの普及で多様なアプリもあるが、低年齢の乳幼児には紙の絵本の世界は分かりやすい。読み聞かせは、相互のやりとりやコミュニケーションのきっかけにもなる」と語る松﨑助教

――学力などの認知能力と同様、忍耐力や社会性、意欲、コミュニケーションといった非認知能力が注目されています。読み聞かせは非認知能力を伸ばすという指摘もあります

読書や読み聞かせに関する研究の主要な関心指標は、「言葉の数(語彙)」と「聞く力」。1980~90年代からよく検討されてきて、今も研究が続いています。ただ、さまざまな報告からいえることは、認知能力と非認知能力はまったくの別物ではなく、互いに関係しあいながら伸びていくということです。

――どのように関係しあっているのでしょうか

子どもたちには発達領域が数多くあります。読書や読み聞かせで伸びるのは言葉の面です。聞く力があり、語彙が増え、言語理解が進むことによって、周囲からの指示などが分かるようになる。それによって「それは、やってはいけないよ」「間違っているよ」といったアドバイスが的確に理解でき、日常でうまく振舞うことにつながります。そして、自分を前向きに認識できるようになり、発達全体を促す一助になっていくことが考えられます。

――学力との関係はどうでしょう

言語面への影響という点からは、教科だと国語への好影響は既存の研究で指摘されています。算数・数学でも、文章題などは読む力、つまり国語の力が必要になってきます。非認知能力につながる良い影響としては、読むことが好きだと、自学自習にもうまく作用していくはずです。分からないことに直面したとき、自分で調べるために、教科書や多種多様な本を読むことがスムーズにいくわけです。

――そういうことから、非認知能力は、「伸びていく力」として注目されているわけですね

学力が高くても、自分をコントロールする力がない。人の気持ちが分からずけんかばかりしている…。「それは、どうなのだろう?」ということです。認知能力(学力)と非認知能力が関わりあうことによって、総合的な力を育んでいく必要があり、注目されるようになっているのではないでしょうか。

――読み聞かせは、認知能力と非認知能力の原点でもあるわけですね

Baby Kumonセット1号に入っている『ベーシックブック』に書かれてあるように、親子や家族の愛着のようなものは、やはりいい影響があるという気がします。母親など、家族や周囲の人たちが自分を見守ってくれる存在であるという安心感によって、子どもたちは「挑戦してみよう」と探索を深めていきます。そうした自立の第一歩に親子のアクティビティ(活動)がよく作用し、その一つに読み聞かせがあります。脳の働きでいえば、さまざまな領域が活性化し、繰り返すことによって、語彙や言葉を使った感情表現、心の安定、スムーズな日常生活、意欲、学力向上とめぐりめぐっていくのです。

――読み聞かせに、うまく取り組むコツは何でしょうか

ちょっとした習慣化だと思います。数多くの本を用意する必要はありません。Baby Kumonセットのようなアイテムを使って、気にいったものを気軽に試すぐらいの感覚でいいのではないでしょうか。読み聞かせを通して、本の楽しさを経験する。その先に、子どもたち自身が本のジャンルや読書の世界を広げていき、良い成長につながっていけばいい。大人になってからも、何かを知りたいから本を読んでみるという習慣につながっていく。さらには、エンターテインメントとしてはもちろん、困ったときやつらいときにも本を読む。そういう選択肢につながっていけばいいと考えています。

Baby Kumonは、子どもの年齢や発達に応じて、親子に合った「ことばのやりとり」をサポートする。いつでもどこでも手軽に楽しめるセットの教材で 、子どもの関心や興味を広げていく(公文教育研究会提供)
Baby Kumonは、子どもの年齢や発達に応じて、親子に合った「ことばのやりとり」をサポートする。いつでもどこでも手軽に楽しめるセットの教材で 、子どもの関心や興味を広げていく(公文教育研究会提供)
Baby Kumon(ベビークモン)のしくみ
創業者の公文公(くもん・とおる)氏が、父としてわが子のために手作りした算数・数学教材を原点にスタートした公文式。Baby Kumonは2012年、〈親子にちょうどよい豊かな子育て〉を目指し、0~2歳の乳幼児期の成長を支え、子育てに注力する家族を応援するために誕生した。
家庭で楽しめるBaby Kumonセットは、オリジナル絵本を中心に『うたぶっく&CD』『やりとりぶっく』『やりとりカード』など、親子のコミュニケーションが楽しく広がる教材をそろえている。また、月に1回、教室で先生と親子のやりとりについて振り返るBaby Kumonタイムを設け、セットの使い方のアドバイスをはじめ、子どもたちの成長を一緒に見守ってくれる。
⇒Baby Kumon(ベビークモン)の特長について詳しく知りたい方は公式HPへ

提供:公文教育研究会

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