山口県阿武町が新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円を誤って住民に振り込み、返還を求めている問題で、山口県警は18日、誤給付と知りながら使ったとして、電子計算機使用詐欺の疑いで阿武町福田下の無職、田口翔容疑者(24)を逮捕した。
田口容疑者は「金は海外のインターネットカジノ数社で全部使った」と話し、「お金を使ったことは申し訳ない。少しずつでも返していきたい」と話していたという。町は返還を求めて田口容疑者を相手取り、山口地裁萩支部に今月12日に提訴。近く刑事告訴する方向でも調整していた。
田口容疑者の代理人弁護士によると、田口容疑者は自分の口座に金が振り込まれた4月8日から同月9日までに計34回にわたって計約4633万円を出金し、残高は約6万8千円に減っていた。主な出金先は国内の決済代行会社3社で、1回で400万円を出金したこともあった。
代理人は「決済代行会社を通じ、海外の口座に金が流れたのではないか」とみている。
田口容疑者が謝罪と返還の意向を示したことに対し、花田憲彦町長は18日「素直に喜びたい」とした上で「裁判で真実を語っていただくことが一番大事だ」と記者団に述べた。
町は4月、金融機関で、男性を含む住民税非課税の463世帯に給付金10万円ずつを振り込む手続きをした。しかし町職員が誤って田口容疑者の名前と4630万円の金額が記された振込依頼書も別途提出し、田口容疑者には10万円に加え4630万円が振り込まれた。