米大使「日米は同盟関係でなく友人」 触れ合い重んじるエマニュエル流

インタビューに応じる米国のラーム・エマニュエル駐日大使=17日午前、東京都港区(萩原悠久人撮影)
インタビューに応じる米国のラーム・エマニュエル駐日大使=17日午前、東京都港区(萩原悠久人撮影)

「大使は、日本の人々が生活している所まで出向いて彼らに会わなくてはならないと思うのです。車に乗せられ、安全に警護された大使ではいたくない」

エマニュエル駐日米大使は産経新聞のインタビューで言い切った。

ラーム・エマニュエル駐日米国大使のツイート
ラーム・エマニュエル駐日米国大使のツイート

駐日米大使のポストは、ハガティ前大使(現上院議員)が2019年7月に離任して以降、約2年半にわたって空席となっていた。

エマニュエル氏は今年1月に着任して以降、その「空白」を埋めるかのように積極的に街に出て、さまざまな立場にいる日本人と交流を重ねている。

「一般の日本の人たちと同じものを食べる」として居酒屋で昼食をとり、歩いて首相官邸に赴く。「日本の豊かな文化と多様で奥深い社会」(同氏)に肌で触れ、五感で日本を知りたいと思っているからだ。

歴代の米大使に比べてツイッターの活用も際立つ。サイクリングやフライフィッシングなどの余暇を楽しむ姿も投稿している。

公務に電車で行く姿もおなじみとなった。横須賀行きの電車に乗った際は「日本が誇る鉄道システムは世界最上級だ」と称賛した。阪急電車に乗ったことを伝える5月12日の投稿では「ハンキューベリーマッチ」とジョークを発信。すでに6万2千件を超える「いいね」が押されている。

一方で、ロシアや中国に対してはツイッター上での非難の応酬もいとわない。本人も認める通りの「控えめではない性格」だ。

大阪を訪れた際は市場に足を運んだ。子供の頃、親に連れられて地元の中西部イリノイ州シカゴの市場に通って以来、市場めぐりが習性となった。「土地の文化を知るには市場に行くのが一番」が持論だ。

無類のコーヒー好きでもある。最近は各地の喫茶店めぐりが楽しみだ。「どこか良い焙煎(ばいせん)店があったら教えて」と呼びかける。

歴代の大使が厳重な警備で守られることが多かったのは、1964年3月に当時のライシャワー大使(90年死去)が大使館のロビーで日本人の少年に刺されて重傷を負った事件が一因とされる。韓国では2015年3月、当時のリッパート駐韓大使が暴漢に顔を切られる事件も起きた。大使の職は時に危険と隣り合わせだが、エマニュエル氏が意に介するふうはない。

沖縄では心打たれる「出会い」もあった。「地元の少年少女ら16人と食事をしたところ、全員が米国に1年間留学するというのです」。彼らが希望に目を輝かせる様子を見ていたら「日米は単なる条約同盟国ではない。友人なのだ」との思いを強くしたという。

「彼らが米国留学に抱くのと同じだけの熱意を、私は日本に住む大使として持ち続けたい」と力を込めた。(黒瀬悦成、坂本一之)

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