エマニュエル駐日米大使「IPEFはルール重視」 中国対抗へ具体化急務

インタビューに応じる米国のラーム・エマニュエル駐日大使=17日午前、東京都港区(萩原悠久人撮影)
インタビューに応じる米国のラーム・エマニュエル駐日大使=17日午前、東京都港区(萩原悠久人撮影)

エマニュエル駐日米大使は、バイデン米大統領が来日中に設立を表明する見通しの「インド太平洋地域の新たな経済枠組み」(IPEF)について、地域の経済活動に「安定と持続性」をもたらすのが目的だと指摘した。最大の狙いは、「米国は恒久的な太平洋の大国」(エマニュエル氏)であるとの認識に立ち、中国の覇権的な経済行動をにらんで国際ルールや慣行に基づく米国主導の新たな経済秩序を構築することだ。

IPEFは、2017年にトランプ前政権が離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に代わる枠組みとして、バイデン氏が昨年10月に発表した。エマニュエル氏は新たな経済枠組みをつくる理由として、米国がTPPに署名した16年2月当時に比べ「新型コロナウイルス禍やロシアをめぐる政治情勢を受けて(国際経済に絡む)状況が変わった」ことを挙げた。

コロナ禍では中国共産党の工作機関が全世界でマスクを買い占める一方、自国開発のワクチンを提供する見返りに台湾をめぐる中国の立場を支持するよう要求する「ワクチン外交」を展開し、批判を浴びた。

ロシアによるウクライナ侵略では各国の大企業がロシアに抗議して次々と事業停止や撤退に踏み切った。人権抑圧を続ける中国への投資に関しても企業の姿勢が問われている。エマニュエル氏は「企業が純粋にコストや効率性だけを勘案して(経営)判断をすることはなくなった。制裁を受ける恐れがある国には誰も投資しない」と述べ、「ルール順守の安定的で持続的な政治システム」に基づく経済連携が重みを増していると強調する。

中国がTPPへの参加を正式申請したほか、今年1月には日中韓や東南アジア諸国による地域的な包括的経済連携(RCEP)が発足し、インド太平洋での中国の存在感は確実に高まっている。エマニュエル氏は「米国は域内諸国から安全保障と経済で頼られる存在だ」と力を込めた。中国の台頭を前に米国がその立場を維持し続けるには、IPEFの取り組みの早急な具体化が不可欠といえそうだ。(黒瀬悦成)

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