「auペイ」悪用の男逮捕 マネロンにフィッシング

警視庁外観=東京都千代田区(岩崎叶汰撮影)
警視庁外観=東京都千代田区(岩崎叶汰撮影)

電子決済サービス「auペイ」を悪用し、他人の銀行口座から移し替えた電子マネーで大量の加熱式たばこのカートリッジを購入したなどとして、警視庁サイバー犯罪対策課は、詐欺と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の疑いで、中国籍の飲食店従業員、寇静文容疑者(21)=東京都葛飾区=を逮捕した。カートリッジは中国へ送り、売りさばいたとみられる。

逮捕容疑は、令和3年1月7日、都内のコンビニエンスストアで、三重県の男性の銀行口座から不正に引き出してチャージしたauペイで、加熱式たばこのカートリッジ19カートンなど計約10万円分を購入名目でだまし取るなどしたとしている。

捜査関係者によると、三重の男性の銀行口座からの引き出しには、銀行や通販サイトなどの正規のホームページを装い、男性に暗証番号や生年月日などを入力させて個人情報を盗む「フィッシング」の手口が使われたとみられる。

また、auペイのチャージまでには、別の第三者の銀行口座も一時的に経由されていたという。サイバー犯罪対策課は犯罪で得た資金を正当な報酬などと装う「マネーロンダリング」(資金洗浄)が行われたとみている。

当時、auペイは銀行口座からチャージする場合に本人確認が不要だったという。寇容疑者は、これらのシステムを悪用して架空の名義でアカウントを作成・使用していたとされる。名義が有名サッカー選手の名前のほか、「氏・名」となっているずさんなものも確認されたという。

これらのアカウントを使い、同様の手口で計約80万円の不正利用が繰り返されていたとみられる。auペイは、その後、本人確認を強化する対策が取られたという。

中国では、加熱式たばこの販売はほとんどなく、日本より高値で取引されているとされ、不正購入したものは、すぐに中国に送られたとみられる。寇容疑者は実際にコンビニでの買い物を担う「買い子」とみられ、サイバー犯罪対策課は、背後に犯罪組織があるとみて調べを進めている。

フィッシングメール過去最悪のペース

犯行では他人の銀行口座からカネを移し替える際にフィッシングの手口が使われたとみられるが、「フィッシング対策協議会」によると、今年1~4月末までに27万3700件のフィッシングメールなどの報告が寄せられているという。過去最悪を記録した昨年の52万6504件を上回るペースだ。

フィッシングは、実在する企業や団体、通販サイトを語るメールを送り、被害者にIDやパスワード、クレジットカード番号といった個人情報を入力させる手口だ。その情報をもとに、銀行口座やクレジットカードが不正利用され、別の犯罪に悪用されるケースもあるという。

長引く新型コロナウイルス禍で、在宅ワークやネットショッピングを選ぶ人が増えたことも、被害の増加一因だといわれている。

協議会や各種団体、国などは、複数のサイトでのパスワードの使い分け、正規のホームページを確認するといった対策を呼び掛けている。(橘川玲奈)

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