【ロンドン=板東和正】北欧スウェーデンのアンデション首相は16日の記者会見で、北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請を正式に表明した。フィンランドも加盟申請を正式に表明しており、両国は週内にも申請する見通し。ウクライナに侵略したロシアの脅威が高まる中、軍事的中立を掲げてきた北欧2カ国は安全保障政策を見直す歴史的転換点を迎える。
両国の加盟が実現すれば、NATOの新規加盟は2020年の北マケドニア以来。プーチン露大統領は16日、「ロシアと両国に問題はなく、NATO加盟は脅威にならない」とする一方、NATOが両国で軍事インフラを増強した場合、「無条件で対抗措置を取る」と述べた。
ロイター通信によると、ノルウェーとデンマーク、アイスランドの北欧諸国は16日の共同声明で、両国がNATO加盟前に攻撃された場合、両国支援の用意があると表明した。
アンデション氏は16日の会見で、NATO加盟は「わが国だけでなく、バルト海地域やNATO全体の安全保障の強化に貢献する」と強調。また、加盟申請手続きはフィンランドと歩調を合わせると説明し、申請から正式加盟まで、1年以上かからないと予測した。
フィンランドのニーニスト大統領は17~18日、スウェーデンを訪問し、申請時期などについて協議する。
アンデション氏が党首を務める与党・社会民主労働党は15日、NATO加盟を支持すると表明。同党の表明を受け、スウェーデン議会が16日に討論を実施し、賛成が多数を占めた。
スウェーデンは1815年のナポレオン戦争終結以降、軍事的中立を維持してきたが、ウクライナ侵攻でロシア脅威論が高まった。