ウクライナ南東部の激戦地マリウポリでウクライナ部隊が抵抗を続けていた最後の拠点、アゾフスタリ製鉄所から負傷した兵士らの退避が16日始まった。ウクライナ軍が明らかにした。ロシア国防省は16日、兵士退避のための一時的休戦でウクライナ側と合意したと発表。退避はこの合意に基づく措置とみられるが、ウクライナ軍は製鉄所内の兵士について「戦闘任務を完了した」と説明しており、事実上の投降を意味する可能性がある。
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日に公表した動画で「つらい一日だ」とした上で「ウクライナの英雄たちは生きなければならない」と強調した。抵抗を続けたウクライナ内務省系「アゾフ連隊」のプロコペンコ司令官は16日、通信アプリを通じ「82日間にわたり敵を引き寄せ、ウクライナ軍が部隊を再編成し、武器を手に入れる可能性をつくり出した」と兵士らをたたえた。ウクライナ側によると、製鉄所内の兵士約260人がロシア側支配地域に向かった。うち重傷者約50人がノボアゾフスクの病院に搬送された。(共同)