安倍派「戦う集団」に脱皮なるか 課題は結束力

「清和政策研究会との懇親の集い」であいさつする会長の安倍晋三元首相=17日午後、東京都港区の東京プリンスホテル(飯田英男撮影)
「清和政策研究会との懇親の集い」であいさつする会長の安倍晋三元首相=17日午後、東京都港区の東京プリンスホテル(飯田英男撮影)

自民党最大勢力の安倍派(清和政策研究会、94人)は17日、東京都内のホテルでパーティーを開き、結束して岸田文雄政権を支えることを確認した。会長の安倍晋三元首相は外交・安全保障分野を中心に発信を強め、政権の政策判断に大きな影響を与えるなど存在感を発揮している。一方で、夏の参院選後や「ポスト岸田」に向けた結束力が課題なのは相変わらずで、安倍氏のリーダーシップが問われそうだ。

「岸田政権をあらゆる場面、場所で支える。安心して思い切って課題に取り組んでほしい」。安倍氏はパーティーでこう語り、首相にエールを送った。

首相は「戦闘能力の高い安倍派に岸田政権を支えてほしい。経済・社会の再生、外交・安保、憲法改正といった大きな課題に向けても力添えをお願いする」と述べた。

このところ、安倍氏の発言が口火となったケースが目立つ。4月の派の会合で防衛費について国内総生産(GDP)比2%を目標とするよう述べた。いわゆる敵基地攻撃能力に関しては「打撃力」と表現し、相手の中枢への攻撃を含むべきだとの持論を展開。いずれも4月末の党提言に要素として盛り込まれた。

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、米国の核兵器を自国領土内に配備して共同運用する「核共有」の議論の必要性にも言及した。首相は核共有は否定しているが、外交・安保をめぐっては外遊前などの節目に安倍氏に面会し、助言を仰いでいる。政府が一時、「佐渡島の金山」の世界文化遺産への推薦見送りを検討したことをめぐっても今年1月、「論戦を避ける形で登録を申請しないのは間違っている」と注文をつけた。

安倍氏が発言を繰り返すのは、参院選をにらみ、親和性の高い保守層の支持を囲い込む狙いがある。派幹部は安倍氏の真意について「内閣支持率が高いのに安全運転をしている。中国の脅威が増す中、歯がゆさがあるのではないか」と代弁した。

参院選で自民が勝利すれば、首相は国政選挙をせずに安定的に政権運営ができる「黄金の3年間」を手にする。安倍氏が悲願である憲法改正に向けて首相を促す場面もありそうだ。

ただ、先の総裁選で首相と高市早苗政調会長で支持が割れたように、派は一丸とはいいがたい。政権中枢に登用された松野博一官房長官、福田達夫総務会長らは、安倍氏とは距離がある。実際、福田氏は11日に国会内で講演し「厳しめの発言が多いと思うが、(安倍)会長の性格というか方針なので、それでいいと思う。実際に物事をどう考えるかというのは別でいいのかなと思う」と述べた。

派内には「首相による分断工作だ」(中堅)などと人事への不満はくすぶっており、参院選後に想定される党役員と閣僚人事で安倍氏が手腕を示せるかが焦点となりそうだ。

衆目の一致する首相候補も不在だ。幹部は「少しずつ、安倍氏を先頭に必要な政策を訴えて政府・与党を引っ張る『戦う集団』になっていけばいい」と語った。(沢田大典)

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