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大きな心の小国

「小さな国だが、大きな心を持っている」。ロシアが侵攻したウクライナの隣国モルドバを今月訪問した国連のグテレス事務総長はこう称賛した。欧州最貧国の一つながら、人口比で最多のウクライナ難民を受け入れていることが理由で、各国に支援を呼びかけた。

国連データによると、モルドバの難民受け入れ数は13日までに約46万1000人。ウクライナ国境の親露分離派地域「沿ドニエストル」を除くモルドバの推計人口約264万人の17%にあたる。受け入れ数が最多のポーランドでも人口比は約8%。モルドバでは難民の95%を家庭で受け入れ、難民キャンプはないというから、確かに寛容な国だと思う。

そんなモルドバだが、難民受け入れの負担は小さくない。モルドバはウクライナとロシアからの食糧やエネルギーなどの輸入に依存してきた。世界銀行は、今回の侵攻に伴うサプライチェーン(供給網)寸断などで、モルドバは「最も打撃を受ける国の一つになる可能性が高い」と分析する。

モルドバはまた、ロシアとベラルーシを除くウクライナ隣国の難民受け入れ国の中で唯一、欧州連合(EU)への加盟が実現していない国だ。このために「EU加盟国が享受する支援をモルドバは受けられない」(グテレス氏)という。国際社会による支援の必要性を納得した。(平田雄介)

モルドバ東部の親ロシア派支配地域で爆発により壊れたラジオ電波塔の写真(「ドニエストル共和国」内務省提供・ロイター=共同)
モルドバ東部の親ロシア派支配地域で爆発により壊れたラジオ電波塔の写真(「ドニエストル共和国」内務省提供・ロイター=共同)

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