「投高打低」の傾向が強い今季のプロ野球で、40年ぶりに珍しい記録が生まれる可能性がある。それは規定打席に達した上での「1割打者」だ。最後の該当者は1982年に1割9分6厘だった巨人の山倉和博。今季は16日現在で、パ・リーグの5人の打率が1割台に低迷している。巨人の扇の要を担った山倉らも含めて、攻撃よりも守りでチームに貢献する「専守防衛」の選手が多い。
西武の「おかわり君」も
同日現在の1割打者は楽天の鈴木大地(1割9分8厘)、ソフトバンクの正捕手を務める甲斐拓也(1割9分6厘)、西武の「おかわり君」こと中村剛也(1割9分3厘)、遊撃手として好守備を連発するオリックスの紅林(くればやし)弘太郎(1割6分9厘)、ロッテのマーティン(1割3分3厘)。5人とも各監督が我慢の起用を続けているが、センターラインを固めるポジションの重責を担う甲斐、紅林は守備力の高さが買われたかたちで、打撃の復調を待っている中村、マーティンとは事情が異なるといえる。
今季はソフトバンクと広島を除くと、各球団とも打線が湿りがちだ。西武の山川穂高、森友哉、オリックスの吉田正尚、杉本裕太郎ら主力級が、故障や新型コロナウイルス感染による離脱、極度の不振に陥った時期があり、完全試合を含む17イニングをパーフェクトに抑えたロッテの佐々木朗希(ろうき)、わずかに規定投球回数には達しないが、防御率0点台を誇るオリックスの山岡泰輔らスーパーエースが多数君臨しているのが要因だ。