電力逼迫「注意報」新設へ 政府、大規模停電回避へ夏までに導入

経済産業省=東京都千代田区
経済産業省=東京都千代田区

経済産業省は17日、電力需給逼迫が予想される場合に前日に発令する現在の「警報」に加え、「注意報」を新設する方針を固めた。企業や家庭にいち早く電力需給逼迫の可能性を知らせて節電を呼びかけ、今夏以降の大規模停電を回避する。警報と注意報の発令は現在の警報発令時間より早めるほか、前々日に電気事業者が別途注意喚起する仕組みも整える。

松野博一官房長官は同日の記者会見で注意報を「夏までに導入する」と強調した。

警報は東日本大震災後に整備された仕組み。他社からの融通を受けても電力の需要に対する供給の余力を示す「供給予備率」が安定的な供給に必要とされる3%に届かないと想定される場合に発令する。「注意報」は、予備率が3~5%になると見込まれる場合に適用する。

経産省は東京電力管内の需給が極めて厳しくなるとして、初の警報を3月21日に発令した。同月16日に福島県沖で起きた最大震度6強の地震の影響で一部の火力発電所の運転が停止して供給力が低下する中、同月22日に気温低下で暖房需要が増えると見込まれたためだ。

ただ、供給予備率が3%を下回るかなどの見極めに時間を要し、前日午後6時ごろとしている警報の発令が3月21日午後9時ごろにずれこんだ。企業や家庭への節電要請も遅れ、「周知が遅い」との批判が出ていた。

経産省は注意報の新設に加え、前日午後6時をめどとしていた発令のタイミングも2時間早めて午後4時に前倒しする。

警報や注意報とは別に、他社からの電力の融通を含めずに予備率が5%程度になると予想される場合、電気事業者が前々日の午後6時ごろに「準備情報」を出す仕組みも新設する。準備情報は一般的な情報提供の位置づけで、企業や国民に具体的な節電行動は求めない。

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