女の情念を鮮烈に詠み、「川柳界の与謝野晶子」と呼ばれ新風を起こした時実新子(ときざね・しんこ)さんが、78歳で死去して今年で15年。時実さんの遺志を継ぎ、弟子たちが隔月で発行を続けてきた川柳雑誌「現代川柳」が廃刊の危機を迎えたが、季刊誌として生まれ変わり、存続することになった。初心者講座や、猫や犬など身近な動物をテーマにした投句を特集するなど、新たな川柳ファンを増やす仕掛けも。編集発行人の中川千都子(ちづこ)さん(61)は、「川柳は、人間を詠む文芸。その魅力を多くの人と分かち合いたい」と話す。
猫を詠み、犬を詠む
現代川柳は、時実さんの川柳を継承する雑誌として、死去翌年の平成20年に創刊された。神戸市内を拠点に隔月で発行を続けてきたが、高齢化が進み会員の減少や資金難などで昨年、廃刊の危機に立たされた。
「新子先生の流れをくむ川柳雑誌が消えてしまうのは、忍びないし、川柳界にとっても大きな損失。何とかしなければ」。会員だった中川さんが手を挙げ、編集発行人に就任。大阪市内に編集の拠点を移し、隔月誌から季刊誌として4月に新たなスタートを切った。「文芸川柳の発展、時実さんの功績継承」を掲げ、新たな会員を開拓する特集を組み、企業や団体の広告を掲載する欄も設けている。