今国会は6月15日の会期末まで1カ月を切った。夏の参院選を踏まえ、政府・与党は提出法案を絞り込み、選挙前に与野党対立の機会を減らすよう努めてきたが、終盤で令和4年度補正予算案の審議が加わり、想定に狂いが生じた。野党側はこの機会を攻防につなげられるかが焦点となる。
「今後も補正予算案など重要な案件が山積している。出口を預かる参院としての責任を果たしたい」
自民党の世耕弘成参院幹事長は17日の記者会見で、終盤国会の意気込みをこう語った。
今国会では政府提出法案61本のうち、これまでに岸田文雄政権が看板政策に掲げる経済安全保障推進法など39本が成立した。政府・与党は会期末までに残る法案22本に加え、今後提出が想定される若者らのアダルトビデオ(AV)への出演契約の被害防止に向けた議員立法などの審議を急ぐ。
政府・与党は6月上旬にはすべての法案審議を終える日程を描いていた。だが、4月に自民、公明両党が物価高騰対策のための補正予算案を今国会で成立させることで合意し、国会日程は窮屈になった。
野党は衆参の予算委員会で集中審議を求める構えだ。予算委はテレビ中継され、野党側の見せ場となるため、与党にはスキャンダルの追及などへの懸念が強い。政府・与党は5月中の補正予算案の成立を目指す意向だが、野党の追及をかわして波風立てずに乗り切れるかは予断を許さない。
一方、野党側は今国会で、堅実な答弁を重ねる岸田首相を攻めあぐねてきた。参院選に向け、予算委で存在感をアピールできるかどうかが課題となる。(今仲信博)