シラスの自販機が登場 和歌山・田辺

釜揚げシラスなどを販売している自販機と発案した増田文彦さん=和歌山県田辺市
釜揚げシラスなどを販売している自販機と発案した増田文彦さん=和歌山県田辺市

和歌山県田辺市のシラス加工メーカー「増富」が、そばの田辺湾でとれた釜揚げシラスなどの自販機を会社前に設置し、話題を呼んでいる。24時間販売しており、だれでも気軽に買える。発案した取締役の増田文彦さん(44)は「シラスの自販機は全国初ではないか。これで味を知ってもらい、ネット通販につながる『入り口』になれば」と意気込む。

増富は大正元年に創業した老舗。田辺湾そばの磯間地区に事務所と工場を構え、すぐ近くの漁港で揚がったシラスを釜揚げにしてスーパーや土産物店に卸してきた。

磯間のシラスは生きのよさで知られ、数年前にネット通販に力を入れ始めたところ、売り上げが上昇。好調なネット通販につなげようと、リースで調達した自販機1台を3月下旬に設置した。製品のパッケージには自社のオンラインストアに導くQRコードを入れている。

ただシラスは常にとれるわけではなく、日持ちもあまりしない。ネット通販では冷蔵したシラスを使っているが、やむなく断ることもある。24時間販売の自販機では、冷蔵に比べれば味は落ちるものの、いつでも気軽に買ってもらおうと、とれたてのシラスを急速冷凍した。

自販機は冷凍機能があるタッチパネル式で、磯間産の釜揚げシラス、生シラス(いずれも1500円)や、市内などほかの産地の釜揚げシラス、生シラス(いずれも千円)、シラスの佃煮(つくだに)(千円)の5種類を販売。人通りはさほど多くないが、釣り客らが1日に10袋ほど買っていくという。

県内のシラスは和歌山市沖の和歌浦湾や湯浅町沖の湯浅湾、田辺湾などでとれ、港と工場が近いため釜揚げが多く出回っているのが特徴。だが、最新となる令和2年の農林水産省統計によると、全国11位の県内シラス漁獲量は、過去10年で2番目に低かった。

増田さんはシラス自販機を観光客が集まる別の場所にも置きたいとしており、「田辺湾のシラス漁獲量は減っており、今年は特に少ない。漁師の高齢化も進んでおり、自販機の設置でニーズを増やして後継者が出てくるようにしたい」と話している。

問い合わせは増富(0739・22・0572)。日曜・祝日は休み。(張英壽)

会員限定記事会員サービス詳細