旧ソ連諸国の一部で構成するロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)は16日、モスクワで首脳会合(サミット)を開いた。ロシアは同条約の締結30周年を記念するサミットだとしているが、ウクライナ侵攻で米欧側との対立が決定的となった中、CSTO諸国との結束を確認し、国際的に孤立したとのイメージの払拭や、対露制裁の打破を狙う思惑だとみられる。
CSTOサミットの開催はウクライナ侵攻後では初めて。プーチン露大統領はサミットの冒頭、「ナチス主義者が称賛される国家は世界でウクライナだけだ」と指摘。「米国がウクライナ国内の露国境付近の研究所で生物兵器開発を行っていた」とも主張し、「自衛措置」だと位置付けるウクライナ侵攻を正当化した上で、軍事作戦の進行状況について各国首脳に詳細に伝達すると述べた。
さらにプーチン氏は「今年秋にCSTOの枠組みで一連の軍事演習を実施する」とも表明した。ウクライナ侵攻をめぐっては、CSTO諸国でも多くが明確なロシア支持を打ち出していない。各国はロシア側に立つことで、米欧側との関係の悪化や、経済制裁の対象とされることを警戒していると指摘されてきた。
プーチン氏は合同演習を通じ、同盟の結束と、盟主としてのロシアの地位を各国に再確認させる思惑だとみられる。サミットの閉幕後には、共同宣言の採択も予定されている。
今回のサミットにはプーチン氏のほか、ベラルーシのルカシェンコ大統領▽アルメニアのパシニャン首相▽カザフスタンのトカエフ大統領▽キルギスのジャパロフ大統領▽タジクのラフモン大統領-のCSTO全6カ国の首脳が出席した。各国首脳は二国間会談も実施した。