Web3の鍵となる「DAO(分散型自律組織)」とは 実際に構築してみた結果

こうして翌日の午後には、DAOをローンチする準備が整った。カンファレンスの食事用トークンを保有している全員に合計100個のLMAOトークンを送ると、カンファレンスの主催者は親切にもTwitterの公式アカウントでlmaoDAOのことを宣伝してくれた。

無事にlmaoDAOがスタートしてから1カ月が経ったが、いまも順調に運営できている。70人のメンバーが参加しているが、実際のところあまりアクティブではない。

キャプションコンテストのほうはと言えば、1コマ漫画ひとつにつき5〜12個のキャプションが投稿されている。『ニューヨーカー』で開催されている公式のコンテストでは、まだ優勝したことはない(正直なところ、あと一歩のところにすら達していない)。

それでも毎週、コンテストを実施している。メンバーはDiscord経由でキャプションを提出し、「Snapshot」というWeb3のプラットフォームを用いて投票する。そして毎週日曜の夜に勝者が発表されたあと、手作業で『ニューヨーカー』に投稿している。

新たなコモンズとしてのDAO

実際のところ、どれだけ分散化されているのだろうか。また、キャプションコンテストの運営には、どの程度の暗号通貨が必要なのだろうか。どちらの質問に対しても、答えは「まったく」である。より分散化された管理を構築するための漠然とした計画はあるが、いまのところ立ち上げたメンバーですべてを管理している。

ブロックチェーン上での取り引きは履歴として残り、誰でも閲覧できるので仲介者を必要としていない。極論を言ってしまうと、ブロックチェーンは“信頼”を必要としない技術なのだ。

しかし、DAOのメンバーはわたしたちの運営方針を信頼する必要がある。なぜなら、わたしたちがDiscordの管理者権限をもち、『ニューヨーカー』のアカウントにログインすることができ、LMAOトークンを管理する唯一の存在だからだ。わたしたちがつくったDAOは、特定のトークンの所有を会員資格の条件とするクラブ活動の延長にすぎない。

しかし、これはどうやら一般的なことらしい。暗号通貨を使う以外に何かをしようとするDAOは、現実世界と相互作用しなければならないと、DAOをつくるためのツールを手がけているスペンサー・グラハムは説明する(うれしいことに、彼はlmaoDAOのメンバーでもある)。つまり、すべてをブロックチェーン上で分散化し、コードで管理することはできないのだ。

「6カ月から9カ月前に、Web3コミュニティが爆発的に増えたのです」と、グラハムは語る。それだけ大勢の人たちがDAOごとにカスタマイズされたトークンを保有してDiscordに参加し、何かしらに投票しているわけだ。

会員限定記事会員サービス詳細