Web3の鍵となる「DAO(分散型自律組織)」とは 実際に構築してみた結果

大喜利で競うDAOをつくってみた

こうした話を聞くうちにDAOにまつわる知識を深めたくなり、友人のジャクソン・スミスに相談してみた。ブロックチェーンの利用を含む教育基盤の改善に注力する非営利団体「Learning Economy Foundation」に所属しているスミスは、同僚と一緒にETHDenverに出席していたのである。こうして、明るく好奇心旺盛な20代の白人男性といった感じの典型的なWeb3のエンジニアである彼らが、DAOの構築を快く手伝ってくれることになったのだ。

そこでETHDenverのメイン会場の近くにあるバーの2階に彼らと集まり、アイデアを出し合った(彼らのことを「開発の中核を担うデベロッパー」と呼ぶと、ETHDenverの参加者は驚いていた)。

まず最初に、DAOの目的を決める必要がある。スミスの提案は、ユーモアに特化したDAOというものだった。そこでは「最も面白い人」が大きな統治力をもつことになる。

そこで、この新しいDAOを「lmaoDAO(lmao=laughing my ass off、日本語では「大草原不可避」といった意味)」と名付けることにした。次に決める必要があるのは「メンバーの面白さ」を判定する基準である。そこでバックパックから『ニューヨーカー』誌を取り出し、同誌が毎週開催しているキャプションコンテスト(1コマ漫画の大喜利コンテスト)での優勝を目標にしてはどうかと提案してみた。

DAOのメンバーはそれぞれが作品を投稿し、面白いと思ったキャプションに投票できる。そして、DAOでの優勝作品を毎週、『ニューヨーカー』に投稿する。DAO内で開かれるコンテストの優勝者にはLMAOトークンを付与し、優勝回数が多い人ほど投票力が高くなるように設定した。

こうしたアイデアができたところで、実際にDAOを構築する必要がある。そこで、さまざまな疑問が生まれてきた。まず、参加者を集める方法である。

開発者のひとりであるネイサンが巧妙なアイデアを思いついた。カンファレンスに登録した人は、全員がトークンの形式で食事券を受け取っている。その食事券を保有しているウォレットをブロックチェーン上から探し出し、そのウォレットにLMAOトークンを送ってアクセス権を付与するというのだ。

といっても、何に対するアクセス権を付与するのだろうか。DAOを組織するための最も一般的なツールは、ディスカッションに用いられるチャットプラットフォームの「Discord」である。そこで、Discordのサーバーにウォレットを接続してきたユーザーがLMAOトークンを保有しているかどうか確認するボットを設定し、認証できるようにした。

メンバーとして認証されると、キャプションコンテストなどのチャンネルにアクセスできるようになるというわけだ。ちなみに自分はライターであって技術力は皆無なので、参加方法やコンテストのルールなどの下書きを担当した。

会場のほかの場所を回っている間も、スミスを始めとする開発者たちはDAOの設定を進めていた。カンファレンスにはイーサリアムの生みの親であるビタリック・ブテリンも登壇していたが、その講演も聴きに行かなかったようだ。

会員限定記事会員サービス詳細