絶海の島が、悲鳴を上げていた―。今年1月末、沖縄県石垣市が公的機関として10年ぶりに実施した尖閣諸島(同市)海域の現地調査。双眼鏡でみる魚釣島の山肌は崩れ、赤土が海に流れ出していた。「10年前より悪化している」。調査チームの東海大教授、山田吉彦(59)は愕然(がくぜん)とした。双眼鏡を海上に向けると、荒海の中で8隻の海上保安庁巡視船が、領海侵入した2隻の中国公船の接近を防いでいた。
領土守る覚悟
発端は平成22年9月、尖閣周辺で違法操業中の中国漁船が海保巡視船に体当たりした事件だ。海保が中国人船長を公務執行妨害容疑で逮捕したものの、当時の民主党政権は中国との関係悪化を恐れ、船長は処分保留で釈放された。