沖縄復帰50年 陛下、「若い世代含む国民の理解」願われ

【沖縄本土復帰50年】天皇、皇后両陛下がご臨席のもと行われた沖縄本土復帰50周年記念式典=15日午後、沖縄県宜野湾市(納冨康撮影)
【沖縄本土復帰50年】天皇、皇后両陛下がご臨席のもと行われた沖縄本土復帰50周年記念式典=15日午後、沖縄県宜野湾市(納冨康撮影)

「若い世代を含め、広く国民の沖縄に対する理解がさらに深まることを希望する」-。天皇陛下は15日の沖縄復帰50周年記念式典のお言葉で、戦争の犠牲や、その後の苦難に対する昭和天皇や上皇さまの思いを踏襲する一方、戦後世代であるご自身の体験を踏まえながら、次世代が築く沖縄像に思いをはせられた。(橋本昌宗、緒方優子)

沖縄が本土に復帰した昭和47年、記念式典に臨席した昭和天皇は復帰を「多年の願望」とし、全国民が協力して「平和で豊かな沖縄県の建設と発展のために力を尽くす」ことを願った。平成4年の式典では上皇さまが昭和天皇の願いを受け継ぎつつ、沖縄の「苦難の道」を振り返り、20年間の沖縄の発展について「心強い」と述べられていた。

陛下は15日の式典で、こうした過去の経緯を踏まえながら、ご自身の沖縄にまつわる体験もご回想。「本土復帰の日、中学1年生であった私は、両親と一緒にニュースを見たことをよく覚えています」と述べ、上皇ご夫妻のもとで、復帰当時から思いを寄せていたことを明かされた。

一方で、明示は控えながらも、復帰から50年を迎えた今も沖縄に「さまざまな課題が残されています」とご言及。世代交代とともに戦争や米軍統治下の記憶が薄れていく現状を背景に、「これまでの人々の思いと努力が確実に受け継がれ、豊かな未来が沖縄に築かれること」を願われた。

東京・沖縄で同時開催となった今回の式典では、主催者側の願い出により、天皇、皇后両陛下は御所からオンラインで2つの会場に臨席される形式に。陛下のお言葉も画面越しとなったが、宮内庁幹部は「推敲(すいこう)を重ねられたお言葉により、長年、沖縄に思いを寄せ、今後の明るい未来を願う陛下のお気持ちが伝わったのではないか」と話した。

沖縄復帰50周年記念式典 天皇陛下のお言葉全文

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