書評

『ブランデンブルク隊員の手記 出征・戦争・捕虜生活』

『ブランデンブルク隊員の手記』
『ブランデンブルク隊員の手記』

第二次大戦時のドイツ国防軍が編成したブランデンブルク部隊。私服あるいは敵の軍服を身に着けて敵地に潜入し、橋など重要施設の占拠や破壊を担った特殊部隊だった。大戦中盤に入隊し、兵卒から少尉にたたき上げて終戦を迎えた人物による貴重な手記だ。

前半ではソ連やイタリアでの具体的な作戦行動が活写され、前線兵士の心の動きが生々しくつづられる。後半は終戦後、ソ連の収容所や刑務所での10年にわたる記録。厳しい尋問と虐待の中、ゲーテの『ファウスト』の一部を毎朝唱えて正気を保ったことなど、極限状態での人間性の保ち方が強い印象を残す。(ヒンリヒ=ボーイ・クリスティアンゼン著 大木毅監訳、並木均訳/並木書房・2640円)

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