深層リポート

山梨県がふるさと納税増へ本腰 目標は全国6位の同県富士吉田市

返礼品の本命

寄付額を増やすためには、返礼品が重要になる。現在、県の主力のシャインマスカットと桃は、県内他市町村でも中心的な返礼品となっているだけに、出遅れている県としては工夫が必要だ。

長崎知事は一例として、小菅村でつくっているマコモダケの食べられない茎の部分で、サウナ用のアロマ水をつくるといった「市町村と県との組み合わせによる新しい返礼品づくり」を提案する。

ただ、長崎知事の〝本命〟は赤いシャインマスカットだ。黄緑色のシャインマスカットと赤色のサニードルチェを交雑し育成した県オリジナル品種「甲斐ベリー7」で、県内のみの限定栽培品種。本格的な収穫は数年後になり、まだ市場に出回ってはいないが、前評判もよく希少価値の高さもある。県の果樹試験場が開発しただけに、県が市町村を先行しやすい品種だ。

県は、ふるさと納税は財源確保に加え、返礼品をきっかけに山梨の魅力発信や地域産業の活性化、山梨観光への動機づけになるとしており、戦略的に取り組むことにしている。

ふるさと納税】 故郷や応援したい都道府県、市区町村に寄付できる制度。確定申告によって寄付金のうち2000円を超える部分は所得税の還付、住民税の控除が受けられ、使い道の指定や、名産品などの返礼品を受け取れる。令和2年度の全国の寄付額は前年度比1・4倍の約6725億円と大きく伸長。自治体別では宮崎県都城市が1位で、2位は北海道紋別市。上位5位までを北海道と宮崎県の自治体が独占し、6位に山梨県富士吉田市が続いた。

令和2年度ふるさと納税寄付額の多い自治体】(総務省調べ)

順位/自治体(都道府県)/寄付額

1/都城市(宮崎県)/135億円

2/紋別市(北海道)/133億円

3/根室市(北海道)/125億円

4/白糠町(北海道)/97億円

5/都農町(宮崎県)/82億円

6/富士吉田市(山梨県)/58億円

7/寒河江市(山形県)/56億円

8/洲本市(兵庫県)/53億円

9/加西市(兵庫県)/53億円

10/焼津市(静岡県)/52億円

記者の独り言】 実は、ふるさと納税に対しては懐疑的な見方をしている。自治体へ寄付するという本来の目的より、返礼品ばかりが重視され、モノで釣るような感があるためだ。しかも返礼品はブームに左右されがちで、寄付額の浮き沈みも大きい。各自治体は、ふるさと納税を主要財源として頼らないと同時に、集まった寄付金をいかに有効に使っていくか、その両方に知恵を絞る必要がある。(平尾孝)

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