『子どものデジタル脳 完全回復プログラム』ヴィクトリア・L・ダンクリー著、川島隆太監修、鹿田昌美翻訳(飛鳥新社・1980円)
「ゲームに没頭するとキレやすく、話しかけると怒る」「短時間でもスマートフォンが離せず、ベッドにも持ち込む」「動画を見るようになってから、言葉遣いが悪くなった」「一つのことに集中できず、気づくとスマホに触っている」-。子供にこんな行動が見られたら、「デジタル脳」かもしれません。
デジタル脳とは、デジタルスクリーンの影響により子供の脳が壊れ始めている状態のこと。子供の脳は成長過程にあるため大人の脳よりも繊細で、あっという間に中毒状態になり、何倍も悪影響を受けてしまうのです。
特に集中力や感情をコントロールする「前頭葉」への影響は深刻で、デジタル脳になった子供はキレやすく、パニック状態になりやすいのが特徴。マイクロソフトの調査では、デジタル機器の影響でたった10秒間も集中できず、「金魚レベル」の集中力にまで落ち込むとも言われています。
本書には米国の児童精神科医による「薬を一切使わない」デジタルデトックスの方法が書かれており、実際に何百人もの子供たちの脳を回復してきました。学校での問題行動、引きこもり、人間関係が築けないなど深刻な状態に陥った子供の劇的な改善例も豊富に記されています。
驚くべき効果に、脳科学者の川島隆太東北大教授やハーバード大学の医学博士らも太鼓判を押す本書。子供の問題行動に頭を悩ませる親や教育者にとって希望の光となるはずです。(飛鳥新社出版部 古川有衣子)