余るモデルナ、止まらぬ廃棄 融通できず悩む自治体

米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチン
米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチン

新型コロナウイルスのワクチン接種で、3回目用に配布された米モデルナ製ワクチンの廃棄が各地で相次いでいる。全体的に接種率が低調なのに加え、米ファイザー製に比べて接種希望者が少ないことが影響し、使用期限切れを迎えているのが理由。期限が迫った品が納入されるほか、自治体間で融通し合えない事情も明らかになり、国に調整を求める声も出ている。

東京都中野区では4月末、約1万4千回分のモデルナ製ワクチンが期限切れで廃棄処分となった。モデルナ製の使用期限は製造から9カ月間だが、同区が1月末に国から配布されたのは4月末までの品。区の担当者は「残り3カ月で使い切らなければならないのは非常に厳しいと感じた」と振り返る。

副反応への懸念などからモデルナ製の接種が敬遠される傾向にあることが在庫のだぶつきに拍車をかけている。「モデルナ製は、どこの会場も大幅に予約枠が空く状況。必要量を事前に算出した上で受け取っているので、余れば廃棄せざるを得なくなる」(担当者)という。

都内では目黒区(約6千回分)、文京区(約1600回分)、杉並区(約800回分)も4月中に期限を迎えて廃棄した。文京区の担当者は「都に依頼し、自治体間の融通を図ったが、他も余っている状況で引き取り手がなかった」。目黒区の担当者は「必要量をぴったり計画的に納入するのは難しい」と嘆いた。

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1月下旬に約30万回分を納入された大阪市は、4月下旬に使用期限を迎えた約8万5千回分を廃棄した。同市の3回目接種率は42・26%(5月1日時点)で、全国20の政令市の中で最低水準。各自治体も在庫を抱える中で、調整は困難だったという。

府内では枚方市が期限の迫った4月中旬、市内の集団接種会場で「予約なし接種」を実施。約400回分を消費したが、約5900回分は廃棄に至った。府の担当者は「国が回収し、海外に回すなどができないか提案している」と話す。

接種率が低調なのは他の自治体も同様で、今後廃棄が発生しそうな〝予備軍〟も少なくない。

京都市は今月下旬に期限を迎える約8万回分が廃棄になる見通しだと発表。東京都新宿区は16、17日に期限を迎える計約2万2千回分について、使用見通しが立っていない(11日時点)。横浜市は今月末期限のワクチンを「一定量、廃棄せざるを得なくなりそうだ」としている。

福岡市は6月上旬が期限のワクチンについて「万回分単位の廃棄が発生しそうだ」と危惧し、「県が融通を図ってくれているが、解決は困難。国単位で動かないと解決しない」(担当者)と訴えている。

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一方、自治体独自の工夫で廃棄を回避したところもある。静岡市や名古屋市では、個別の医療機関で期限切れの見込みが出た時点ですぐに職員を派遣して回収し、大規模接種会場に回すなどしている。期限の迫ったワクチンから順に使用するなどの工夫が奏功し、これまで廃棄を出さずに済んでいるという。

4回目以降の接種は対象者が限定されるものの、同様の課題は残る。

医療行政に詳しい城西大の伊関友伸教授は、「ある程度の廃棄が出てしまうことはやむを得ない」とした上で、「モデルナ製の3回目は接種量が、1、2回目の半分になったことが伝わっているかという疑問もある。国や市町村はモデルナ製について、情報を広く分かりやすく伝えていくことが大切だ」と話した。(外崎晃彦)

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