ウクライナ侵攻で、米シンクタンク「戦争研究所」は13日、東部ハリコフ州を巡る攻防戦で「ロシア軍が敗退した」とする分析を公表した。一方、ウクライナのベレシチュク副首相は同日、東部マリウポリの製鉄所に籠城するウクライナ部隊の救出について「結果は全ての人を満足させるものにならないかもしれない」とし、実現は困難だとの認識を示した。ゼレンスキー大統領も退避の実現は困難だと認める一方、「可能な限りのことをする」と表明した。
戦争研究所は同日付リポートで「露軍は増援不足とウクライナ軍の反攻によりハリコフ周辺から完全撤退を決めたようだ」とした。
英国防省も同日、露軍が東部ルガンスク州のドネツ川を渡る作戦で失敗し、少なくとも1個大隊戦術群に相当する戦力を失ったとする分析を公表。露軍は主目標とするドンバス地域で前進できていない-とした。
ウクライナメディアによると、同国内務省のアンドルシフ顧問は、露軍が電撃的なキーウ(キエフ)制圧を狙った作戦の第1段階、東部で占領地を拡大する第2段階に失敗し、現在は防御線を構築して占領地を維持する「第3段階に入った」と指摘。「ロシアは作戦の長期化を決断した」と分析した。
一方、マリウポリの製鉄所を巡り、ベレシチュク氏は13日、交流サイト(SNS)上で「交渉は困難だ。戦争は冷徹な現実で、奇跡は起きない」と述べた。同氏は12日、重傷を負った一部の兵士の退避と引き換えにロシア兵捕虜を返還する交渉を露側と行っている-と明らかにしていたが、交渉の停滞を示唆した。
製鉄所内には数百人から1千人のウクライナ兵が籠城し、多数が負傷しているとされる。ロシアは交渉での退避は認めず、降伏しない限り攻撃を継続する構えを崩していない。