海遊館diary

人気者のカワウソ 赤ちゃん時代はカナヅチ

遊泳中のコツメカワウソ(海遊館提供)
遊泳中のコツメカワウソ(海遊館提供)

カワウソは水辺にいる生き物で、魚やカニなどの甲殻類を主な餌としています。そのため、泳ぐことは他の陸上動物よりも得意で、水かきを持つなど泳ぎに特化した体の機能を備えています。

しかし、カワウソは生まれたときから泳ぐことができるわけではありません。家族で暮らすコツメカワウソは親や兄姉たちが子供に泳ぎを教えます。これまで海遊館で繁殖したカワウソも、親や兄姉たちが代わる代わる弟妹を水場に運ぶ様子を観察しました。

ところで、海遊館では海外から密輸されたカワウソを預かって飼育しています。このカワウソは、予備室にある浅いプールには早い段階でなじみましたが、展示室の深いプールに連れていくと怖がって泳ぐことができませんでした。

そこで、飼育員が泳ぎを教えることにしました。練習といっても飼育員が餌を持って「こっちにおいで」と声をかけ、プールの中へ誘導します。

餌は欲しいし、飼育員のところまで行きたいけど、プールに入るのが怖いカワウソ。たまに滑って落水しても、慌てて上陸してしまいます。無理やり水に入れるのは避け、とにかく根気よく練習すること数回。カワウソが自ら入水して泳いだときは皆で拍手大喝采でした! 今ではすっかり達者に泳いでいますが、少しぎこちない気がしないでもありません。

飼育下では自ら餌を獲る機会はほとんどないため、絶対に泳がねばならないわけではありません。しかし、泳ぐ能力を得たことにより、このカワウソのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=その動物がその種らしく、快適で幸せを感じる生活をしているか)は向上したのではないかと考えています。

ちなみに、以前いた密輸保護のカワウソは1歳を過ぎたころに水泳練習を実施し、その日のうちに泳ぐことができました。今回は2歳になってから実施したためか、かなり時間がかかりました。1年の差ではありますが、泳ぐ練習は早いほうが良いようです。(魚類担当飼育員 藤田かおり)

会員限定記事会員サービス詳細