昭和47(1972)年5月13日夜、防災研究の第一人者として知られる神戸大の室崎益輝(よしてる)名誉教授(77)は、テレビ中継にくぎ付けになっていた。「どうしてこんなことに」。大阪・ミナミの千日デパートビルから炎と黒煙が高々と上がる。高層階の窓からは、取り残された人たちが助けを求めていた。
窓からホステスが降ってきた…118人犠牲の惨劇 千日ビル火災50年
当時、京都大工学部で助手として建物防災の研究を始めたばかりだった室崎さん。火災発生から2、3日後にビルに入ることが許された。煙やすすで真っ黒だった現場で、大きな疑問に突き当たった。