山口FGの決算は最終赤字130億円

記者会見する山口フィナンシャルグループの椋梨敬介社長=山口県下関市
記者会見する山口フィナンシャルグループの椋梨敬介社長=山口県下関市

山口フィナンシャルグループ(FG)が13日に発表した令和4年3月期連結決算は、最終損益が130億円の赤字(前期は249億円の黒字)だった。有価証券の損切りや信用コストを大幅に積み増したことが要因だが、山口FGは、同日公表した新中期経営計画を展開していくための「足場固め」で、積極的な損失計上だと強調。新中計を含む今後の改革を着実に実行することで、前会長の解任をめぐる問題によって傷ついた信頼の回復を急ぐ。

最終赤字は山口FG発足直後の平成19年3月期以来。一般企業の売上高にあたる経常収益は前期比19・8%減の1470億円だった。

有価証券はウクライナ情勢や世界的なインフレ懸念などを踏まえ、含み損を抱える外国債券や株式投信を中心に圧縮し、ポートフォリオ(組み合わせ)を再構築。今年1~3月で283億円の売却損を計上した。

新型コロナウイルスに加え、エネルギー価格の高騰、円安などにより先行きの不透明感が増していることから、取引先の業績悪化に備える貸倒引当金を176億円積み増したため、信用コストは同127億円増の221億円に上った。

傘下の山口、もみじ、北九州の3銀行はいずれも減収減益で、もみじ銀は平成19年3月期以来の最終赤字となった。

5年3月期の通期業績予想では、最終利益170億円の黒字化を見込む。椋梨敬介社長グループ最高経営責任者(CEO)は山口県下関市で記者会見し、赤字決算について「安定的な収益構造への転換や取引先への円滑、迅速な支援を可能とするための足場固めだ」と説明した。

一方、山口FGが同日公表した令和4年度から6年度までを期間とする中計では、最終年度となる7年3月期の最終利益を過去最高の330億円にする目標を掲げた。デジタル化の推進によって金融事業でサービスの高度化を図り、地域商社や人材紹介、地方創生など非金融分野の新事業を強化する。

中計の策定にあたっては現場からの声を反映するボトムアップにこだわった。

山口FGでは昨年、新銀行の設立構想を独断で進めたことなどを理由に前会長グループCEOが解任され、椋梨氏をトップとする新たな経営体制が発足した。一連の問題をめぐっては、ガバナンス(企業統治)の不備などが浮き彫りとなり、トップに権限や情報が集中する社内構造などが問題視された。

このため新中計については、従来のトップダウンによる策定を改めた。前中計では3銀行それぞれの地域性などの特徴が十分に反映されていなかったとして、今回は3銀行の担当者によるプロジェクトチームを組織。現場の意見を取り入れることで「実現可能性の高い計画を策定した」(椋梨氏)という。

株価連動型報酬の導入など人材育成への投資を3年度比で2倍にする目標も掲げ、従業員を大切にする姿勢も打ち出した。経営に顧客の声がより反映されるよう、FGの取締役には傘下3行の頭取を就かせるようにするなど、経営管理体制の改革も進めている。

「従業員と一体感を持って、株主と同じ目線に立った業務運営を一致団結して行っていきたい」

会見で、椋梨氏は旧体制からの脱皮に向けた決意を語った。(小沢慶太)

会員限定記事会員サービス詳細