「ようやく、世界に誇れるワクチンが実現できるかもしれない」。4月、新型コロナウイルスワクチンの開発を続けるKMバイオロジクス(熊本市)の関係者が期待を口にした。
日本では今、海外製の使用を想定した4回目接種の計画が進む。一方、国内企業が研究開発するワクチンは承認申請にすら至っていない。国産ワクチンは海外勢に比べ、周回遅れどころか2周、3周の差をあけられていると揶揄(やゆ)されてきた。
KMバイオは令和2年5月から、インフルエンザ予防にも使われてきた従来型の「不活化ワクチン」の開発に挑んでいる。これまで追加接種への供給を狙ってきたが、驚異的な発症予防効果を示すメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが普及する中、戦略変更を余儀なくされた。