令和4年3月期決算の発表が13日、ピークを迎えた。SMBC日興証券の集計によると、12日までに発表を終えた東京証券取引所旧1部上場の825社(金融除く、全体の62・4%)の最終利益の合計は前期比33・5%増の26兆5479億円。海外経済の回復や円安効果を追い風に、製造業の回復が全体を牽引(けんいん)している。新型コロナウイルス禍における経済活動制限の緩和が進み、企業業績の回復傾向が鮮明となっている。
最終利益では、製造業が61・8%増の17兆1198億円。過去最高益を更新したトヨタ自動車を含む自動車のほか、鋼材需要の高まりを受けた鉄鋼が好調だった。
非製造業は1・3%増の9兆4280億円。1兆7千億円を超える巨額赤字を計上したソフトバンクグループが足を引っ張ったが、全体としては増益傾向が目立った。荷動きが活発化した海運のほか、資源価格高騰の恩恵を受ける商社の伸長が顕著だった。一方、資源高は電力・ガスにとって大幅減益の要因となった。
5年3月期について、SMBC日興の安田光株式ストラテジストは「外国人観光客の入国が再開されれば、彼らが内需の支えになるだろう」と分析する。ただ、ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナの感染状況など不確定要素も多く、安田氏は「今後の情勢を先読みできず、今期計画を保守的にみる企業も多い」と指摘している。