参院選宮城 士気上がる立民、上がらぬ自民 桜井充氏の過去が影響

参院選宮城選挙区に自民党から出馬を予定する桜井充参院議員=3月27日午後、仙台市青葉区の東京エレクトロンホール宮城(奥原慎平撮影)
参院選宮城選挙区に自民党から出馬を予定する桜井充参院議員=3月27日午後、仙台市青葉区の東京エレクトロンホール宮城(奥原慎平撮影)

「6月22日公示、7月10日投開票」の日程が有力視される参院選の公示まで13日で40日となった。宮城選挙区(改選数1)は自民党から出馬を予定する桜井充参院議員の旧民進党出身という経歴が、自民と立憲民主党の地方組織の熱意に温度差を生じさせている。自民は桜井氏擁立を党本部が主導した経緯も手伝い、県連の熱気はいまひとつ高まらず、対する立民県連は野党陣営から自民に移籍した桜井氏相手に闘志を燃やしている。(奥原慎平)

「選挙はそう簡単ではない。悪名は無名に勝るからだ。自民党の組織力を公明党が支えるわけだから楽に勝った試しは一回もない」

今月6日、出馬準備を進める立憲民主党の小畑仁子県議が仙台市内で行った事務所開き。安住淳・県連代表は、桜井氏の知名度の高さをこう揶揄(やゆ)しつつ、陣営の引き締めを図った。

参院選宮城選挙区に立憲民主党から出馬を予定する小畑仁子県議(右端)とその家族=6日午後、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)
参院選宮城選挙区に立憲民主党から出馬を予定する小畑仁子県議(右端)とその家族=6日午後、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)

小畑氏は埼玉県出身。仙台市の病院の看護師を経て、令和元年10月の県議選で初当選した。安住氏が「私より国会で話題の中心」と評する理由は、小畑氏が8人の子供の母だからだ。会場には小畑ファミリーも駆けつけ、16歳の長男が「頼れる人だ。母をお願いします」と頭を下げると、小畑氏が涙ぐむ場面が演出された。

立民陣営の士気は高い。訴求力ある小畑氏を擁立したことに加え、自民の桜井氏は因縁の相手だからだ。

桜井氏は民進党から出馬した平成28年の参院選で、共産党も巻き込んだ野党共闘態勢を構築し、自民候補を破った。その後、旧国民民主党を経て無所属となって、令和元年5月に自民党会派に入会した。

この間、桜井氏は平成29年7月に民進党の蓮舫代表(当時)の党運営を批判し記者団に離党をほのめかすなど、党の〝体質〟には不満を抱いていたようだ。ただ、野党共闘で勝ち取った議席を自民党に譲り渡すような3年前の自民会派入りは、立民陣営には「背信行為」(安住氏)に映っている。

県選出議員は「小畑氏は小畑氏で頑張ってもらう。私たちは3年前を忘れていない。裏切った桜井氏と私たちの戦いでもある」と鼻息が荒い。

対照的に桜井氏を支えるはずの自民党県連には微妙な雰囲気が漂っている。

「党本部も両方が出ることによる共倒れを避け、一本化しなければならないという判断だったのだろう」

西村明宏県連会長は4月30日、仙台市のホテルで開かれた県連総務会で、県連が推していない桜井氏が党公認候補となった選考過程に異議を唱える出席者をなだめるように、こう理解を求めた。

県連は昨年12月、石川光次郎県議を党本部に公認申請する方針を決めた。石川氏と県選出国会議員らの2連ポスターを貼り出すなど県内各地で知名度向上に努めたが、4月初旬に党本部が行った情勢調査で石川氏を上回った桜井氏が公認候補予定者に選ばれた。

桜井氏は平成10年以降過去4度の参院選で自民党候補と争ってきた。会合では別の出席者も「敵で何度も戦った相手だ。私は支部長だから(桜井氏の)ポスターを張るが、ほかの人に協力は頼めないと(選考過程で)言った経緯がある」と述べ、複雑な心境をのぞかせた。

桜井氏は現在、県連支部を回り、自民党入党を報告し、参院選出馬に理解を求めているという。ただ、県連の支援態勢に不安が残る。若手県議は「地方議員のベテランらは『桜井氏で仕方がない』と順応しているが、若手には(桜井氏を積極支援するほどの)やる気はない」と漏らす。各地に貼られた石川氏の2連ポスターは残されたまま、桜井氏の屋外ポスターを作成する予定はないという。

友党・公明党への推薦依頼もまだ行われていない。桜井氏が支部へのあいさつ回りを終えた後、公明党県本部と協議を始める方向だが、県本部幹部は「自民が桜井氏を公認した経緯をちゃんと説明しなければ、こちらも支持者に何も伝えられない。推薦をお願いされても一律に(支持者は)桜井氏に投じるわけではない」と述べ、支持団体に理解が広がるには時間がかかるとの見方を示す。

宮城選挙区は日本維新の会から元仙台市議の平井みどり氏らも出馬を予定する。平井氏は14日に同市内で記者会見する。

会員限定記事会員サービス詳細