連載小説「厳島 ITSUKUSHIMA」(120)永興寺・七 武内涼2022/5/12 11:00有料プラン記事ライフ本学術・アート小説「厳島」反応永興寺(ようこうじ) 七憤懣(ふんまん)の熱流で血が煮えそうになるが、つとめて静かに隆兼(たかかね)は、「……ほう。何処(どこ)がどう誤っておる?」並の者なら恟々(きょうきょう)としそうな獣じみた怒気が、三浦越中守(みうらえっちゅうのかみ)のこの場にいる誰よりも大きく逞(たくま)しい体から、放たれている。「――我らの武じゃ!」