合成樹脂の加工、販売を手掛けるウェーブロック・アドバンスト・テクノロジー(東京都中央区)は、米ゼネラル・モーターズ(GM)から電気自動車(EV)向け樹脂フィルム素材を受注した。EVはガソリン車に比べデザインの自由度が高いとされ、同社は加工しやすい樹脂フィルムの採用を国内外の自動車メーカーに働きかけている。海外メーカーでは独フォルクスワーゲン(VW)や米新興EVメーカーのリビアン・オートモーティブのEVに採用されている。
GMから受注したのは、メッキ加工の代替となる金属調の加飾フィルム。キャデラックブランド初のEV「リリック」向けで、ドアパネルの内装パーツとエンブレムに使われる。加飾フィルムは光が透過するため、金属の光沢を得られるだけでなく、内装パーツでは光が色を変えながら流れるように点滅する。
VWには、硬度や耐衝撃性を高めた透明多層フィルムをハッチバックタイプの小型EV「ID.3」やスポーツ用多目的車(SUV)タイプのEV「ID.4」向けに納入している。速度など運転情報を車両前方に投影する「ヘッドアップディスプレー」用として採用されており、VWが年内に投入を予定している「ID.4」の日本仕様車にもこのほど採用が決まった。
ウェーブロックは金属調加飾フィルムなどをトヨタ自動車など国内外の自動車メーカーに納入しており、売り上げの約半分を自動車向けが占める。デザインの自由度が高まるEVではさらにフィルムの需要が高まるとみており、生産能力増強のため、令和5年3月期に11億円の設備投資を予定している。(高橋俊一)