ウクライナ南部ヘルソン州の親ロ派勢力は、今年末までに同州の住民に対し、ロシアの身分証の発行を始める考えを示した。タス通信が12日までに報じた。東部の戦況が膠着する中、ロシアは黒海沿岸の要衝である同州で実効支配を加速している。米機関などは、ロシア軍が東部ハリコフで守勢に立たされていると指摘した。
ヘルソン州制圧を表明したロシア軍関係者らでつくる臨時政権のナンバー2、ストレモウソフ氏は「次の段階は希望者全員にロシアの身分証を発行することだ」と語った。身分証取得は義務ではないとも述べた。
ヘルソン州はロシアが強制編入したクリミア半島に隣接し、半島の重要な水源でもある。米シンクタンク「戦争研究所」は、ロシア軍はウクライナの黒海沿岸部制圧に向け、南部ミコライウ州に攻め込むために、隣接するヘルソン州西部で足場を固めようとしていると分析した。(共同)