ヤフオク出品の仏像、寺に戻る「仏の教えだったのかも…」

「無事に戻ってよかった」と話す三木貫首名代=下京区
「無事に戻ってよかった」と話す三木貫首名代=下京区

日蓮宗本山の立本寺(りゅうほんじ)(京都市上京区)から仏像「月天子(がってんじ)」が昨年6月に盗まれた事件で、オークションサイト「ヤフオク!」に出品された仏像は6日、出品者から寺に返還された。立本寺の三木大雲(だいうん)貫首名代(49)が8日、産経新聞の取材に応じ、「家族を誘拐されたような気持ちで、夜も眠れなかった。無事に戻ってきてくれて安心した」と語った。

月天子像は高さ約50センチの木造。文化財の指定は受けていないが、寺の建物が現在の場所に再建された1708年ごろより前からあったという。昨年6月に安置されていた刹堂(せつどう)から盗まれ、行方不明となったが、今月1日にヤフオク!に出品されていることが判明。「盗まれた月天子像ではないか」との情報が寺や上京署に寄せられ、2日に出品は取り下げられた。

立本寺から盗まれた仏像「月天子」(京都府警提供)
立本寺から盗まれた仏像「月天子」(京都府警提供)

三木さんは1日にサイトを見た人からの連絡で出品を知った。月天子像と特徴が一致していたため、10万円で落札を試みたが、どんどん値がつり上がっていった。昨年来、複数のオークションサイトをチェックし、出品されていないか確かめることが日課となっており、「見つけたときは、すぐに取り返さなければと興奮したが、徐々に冷静になれた」。三木さんは府警に通報した。

出品した大分県由布市の古物商は盗品であったことを知らなかった様子で「すぐにでも返す」と、電話で三木さんに説明。6日には、寺に丁寧に梱包(こんぽう)されて戻され、傷や汚れはなかったという。

今回の事件を通じ、月天子像に手を合わせるといった日常のありがたさを改めて痛感したという三木さん。「月天子さんが盗まれ心配な日々だったが、日常の当たり前について考えなさいとの仏の教えだったのではないか」とも語る。盗んだ犯人には「事情があったのかもしれない。真摯(しんし)に反省し、世の中の役に立つことをしてくれれば」と話した。(太田優)

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