静岡県熱海市の大規模土石流で同市議会は12日、地方自治法に基づき設置された調査特別委員会(百条委員会)を開き、盛り土崩落の起点となった土地の現所有者を証人喚問した。現所有者は「盛り土があったという認識がなかった。私どもがやったことは一つ、敷地に木を植えただけだ」と主張した。
現所有者に防災工事の指示を受けたとされる男性も出席し、「市から『触るな』と言われたので、工事はしていない」と証言。市が指示した経緯は明らかにしなかった。県は、排水設備の不備が被害拡大につながったとみている。
市などによると、現所有者は平成23年に起点の土地を取得。直後、排水設備を設ける防災工事に着手したが、「工事代金は旧所有者が負担すべきだ」と主張し、支払いを拒否した。最初に依頼した業者が代金未払いを理由に工事を中断したため、男性に指示したとみられる。