スリランカ混迷深まる 親中首相辞任もデモ収まらず

9日、スリランカ最大都市コロンボの大統領府周辺で、政府に対する抗議デモ隊を襲撃した与党支持者ら(AP)
9日、スリランカ最大都市コロンボの大統領府周辺で、政府に対する抗議デモ隊を襲撃した与党支持者ら(AP)

【シンガポール=森浩】経済危機に直面するスリランカで政情不安が拡大している。政府への抗議デモをめぐる混乱で9人が死亡し、親中派マヒンダ・ラジャパクサ首相が辞任した。実弟のゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は12日、事態の収拾を図るため、野党指導者を新首相に任命したが、経済回復に妙手がないだけに混乱は長期化しそうだ。

スリランカでは対外債務の膨張や新型コロナウイルス禍による観光業の低迷により、輸入代金の決済や債務の支払いに使う外貨準備高が急速に減少した。その結果、物価高や物資不足が深刻化し、政権を牛耳るラジャパクサ一族への不満が高まっている。9日には最大都市コロンボでデモ隊と与党支持者が衝突し、9人が死亡、300人以上が負傷した。政権関係者らの自宅への放火も相次いだ。

マヒンダ氏は一族の中心的存在で、2005~15年には大統領を務め、スリランカの中国接近を推進した。混乱の責任を取って首相職から退くことで抗議の沈静化を狙う思惑があったが、デモ参加者が政権批判をやめる気配はない。

ゴタバヤ氏が12日に新首相に任命したのは、野党統一国民党のウィクラマシンハ総裁。同氏は過去にも首相を務めており実務経験も豊富だが、デモ隊はゴタバヤ氏の辞任を強く要求しており、混乱の収束につながるかは見通せない。

ゴタバヤ氏は経済危機を切り抜けるため、4月に国際通貨基金(IMF)に支援を要請したが、国内の政局が流動化する中、交渉は停滞する可能性がある。財政を圧迫する対中債務については1月に返済期限見直しなどを求めているが、中国側が応じるかは不明だ。

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