保健師奮闘でコロナ罹患低く 奈良県立医大グループが分析

人口当たりの保健師数が多い自治体ほど、新型コロナウイルスに感染する人の割合が低い-。奈良県立医科大(同県橿原市)のグループがこんな研究結果をまとめ、発表した。グループは「保健師の数を増やすことが新型コロナの感染拡大を防ぐ手段として有効だと科学的に示すことができた」としている。

調査では令和2年1月~3年9月の人口10万人当たりの累積新規感染者数(罹患率)と、保健師数(平成30年末現在)を都道府県別に比較。その結果、保健師数が最も少ないグループ(9都府県)と、最も多いグループ(9県)の平均罹患率では4・26倍の差が出た。

都道府県別でみると、保健師が全国で最も多い島根県(10万人当たり79・3人)は10万人当たりの感染者は239・3人で、全国で2番目に少なかった。一方、保健師数が最も少ない神奈川県(23・5人)は1822・0人と4番目に多かった。

新型コロナでは一般的に人口が密集し人流が多い大都市の方が感染が拡大しやすいとされる。そのため、人口密度やサービス業などに従事する人の割合といった影響を取り除いた平均罹患率(りかんりつ)も比較したところ、同様の結果が出たという。

結果について研究グループは、保健師が感染経路を特定する積極的疫学調査を行うことでクラスター(感染者集団)の早期発見・対応につながり、感染予防に貢献している可能性があると指摘。また、日頃から保健師の周知活動が活発なため、マスク着用や予防接種など健康への関心が根付いていることも影響していると分析している。

研究グループの冨岡公子特任准教授は「感染対策の最前線で重要な役割を果たす保健師の増員が感染拡大の封じ込めに役立つ可能性がある。今後オミクロン株の状況も反映した詳細な研究をしたい」としている。

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