日EU首脳協議 首相、対中でEUと連携 高まる欧州の脅威認識

日EU定期首脳協議に臨む(左から)EUのミシェル大統領、岸田文雄首相、フォンデアライエン欧州委員長=12日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)
日EU定期首脳協議に臨む(左から)EUのミシェル大統領、岸田文雄首相、フォンデアライエン欧州委員長=12日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)

岸田文雄首相は12日、欧州連合(EU)との定期首脳協議で「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けた協力推進を確認した。ロシアのウクライナ侵攻を黙認しているに等しい中国に対しては欧州でも脅威認識が高まっており、日本は対中戦略で連携強化を図る。今月下旬に見込まれる日米首脳会談や日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の首脳会合にもつなげたい考えだ。

岸田首相はEUとの定期首脳協議で東アジアでの連携を訴えたが、中国の脅威により明確に言及したのはEU側だ。ミシェル大統領は「攻撃的姿勢を強めている中国に対しても注意が必要だ。われわれの連携が必要だ」と強調した。

11日、官邸で行われたフィンランドとの首脳会談では、報道陣に公開された冒頭部分で中国を名指ししなかった岸田首相に対し、マリン首相が「ロシアのウクライナへの戦争はグローバルな環境に大きな変化をもたらした。その中で中国が力をどのように使うか画策しているのではないか」と指摘した。

EUは経済関係を軸に中国重視だった姿勢を近年は見直している。新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害といった強権姿勢を問題視したからだ。ロシアに対する中国の態度にも警戒感を抱く中、東アジア地域に関与する重要なパートナーとして日本への期待が増す。EUとフィンランドの両首脳ともに、今回の外遊では日本訪問だけが目的だった。

岸田首相も欧州外交を重視し、先の大型連休中は英国とイタリアを訪れた。今後のクアッドなども通じて中露との対抗軸の構築を急ぐ。昨年は、5月の日EU定期首脳協議で「台湾海峡の平和と安定が重要」との認識で一致し、続く6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)でこの文言を初めて盛り込んだ首脳宣言採択に結びつけた。(田中一世)

会員限定記事会員サービス詳細