フィンランド、集団防衛で対露抑止 中立路線を転換

フィンランド・ヘルシンキで記者会見する同国のニーニスト大統領=11日(AP=共同)
フィンランド・ヘルシンキで記者会見する同国のニーニスト大統領=11日(AP=共同)

【ロンドン=板東和正】北欧フィンランドの首脳が12日、北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請する方針を示し、伝統的な軍事的中立路線からの転換を明確にした。約1300キロに及ぶ国境を挟んでNATOと直接対峙(たいじ)することになるロシアは反発しており、緊張が一段と高まる懸念はある。だが、ウクライナ侵略でロシアの脅威を目の当たりにしたフィンランドは集団防衛による抑止力強化が不可欠と判断した。

「もしNATOに加盟申請することがあれば、それはロシアが引き起こしたことだ」。フィンランドのニーニスト大統領は11日の記者会見で語気を強めた。

同国は1917年にロシアから独立。第二次大戦中にはソ連と戦火を交え、国土の約1割を奪われた。ソ連を敵に回すことを恐れ、戦後は西側諸国で唯一、ソ連と友好協力相互援助条約を締結。米主導のNATOに属さず、ソ連崩壊後もその方針を維持してきた。

だが、ウクライナ侵攻はプーチン露政権が近隣国に軍事力を向けるリスクを浮き彫りにし、フィンランドを急速にNATOに向かわせた。国営放送局「YLE」が9日に報じた世論調査では、侵攻前は過半数に満たなかった加盟賛成が76%に達した。世論の高まりを受け、大半の議員も加盟を支持する。

ロシアはすでにNATOに傾くフィンランドに対し、露軍機が領空侵犯を繰り返すなどして牽制(けんせい)を強めている。露国家安全保障会議副議長のメドベージェフ前大統領は、フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟すれば、周辺の軍事力を増強する姿勢を示唆し、「バルト海の非核化はこれ以上議論できない」と核もちらつかせ威嚇する。

フィンランドとしてはこうした核の脅しに対処するためにもNATOの抑止力への期待が高い。同国のハービスト外相は米外交誌フォーリン・ポリシーに「(ロシアの)核兵器や化学兵器の脅威に私たちだけで対応するのは非常に困難だ」と打ち明けた。

正式加盟までの安全保障に懸念は残るが、NATOのストルテンベルグ事務総長は「何らかの措置を取ることができると確信している」と強調している。

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