WHOトップ「持続可能でない」 中国ゼロコロナ批判

テドロス事務局長(共同)
テドロス事務局長(共同)

【ロンドン=板東和正、北京=三塚聖平】世界保健機関(WHO、本部ジュネーブ)のテドロス事務局長は10日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に押さえ込む中国政府の「ゼロコロナ」政策について「持続可能とは思えない」と批判した。「別の戦略への移行は非常に重要だ」と述べ、方針転換を勧めた。中国国内でも、ゼロコロナ政策に基づく防疫措置に批判が出ている。

WHOが特定の国の新型コロナ対策を批判するのは極めて異例とみられる。テドロス氏は「(新型コロナの)ウイルスは進化しており、より感染しやすくなっている」と強調。感染力の強い変異株が出現する中、完全な封じ込めは難しくなっているとの認識を示した。「私たちは中国の専門家と議論し、(ゼロコロナ政策が)持続不可能であると伝えた」とも述べた。

変異株が感染者の急増を引き起こす一方で、ワクチン普及などの効果で新型コロナの重症者が「以前ほど急速には増加していない」とも指摘し、柔軟な対策を実施するよう勧めた。

WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏も会見で、ゼロコロナ政策が市民の生活の自由を奪っているとの指摘があることを念頭に「(新型コロナ対策は)個人の人権を十分に尊重したものでなければならない」と強調。「規制措置と社会や経済に与える影響とのバランスをとる必要がある」と訴えた。

中国の憲法学者である華東政法大(上海市)の童之偉教授は11日までに、ロックダウン(都市封鎖)を続ける上海当局が住民を隔離施設に強制的に送っているのは「違法だ」と批判する意見書を公開した。香港メディアによると、意見書は北京大などの教授20人余りの意見を取り入れて作成した。意見書はすぐに削除対象となり、童氏の交流サイト(SNS)のアカウントは投稿禁止状態になった。

中国の感染症対策の第一人者である鍾南山氏は4月、経済・社会の正常化のためにはゼロコロナ政策を「長く続けることはできない」と指摘する論文を発表している。


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