福岡・飯塚の藤井さんが66歳で看護師国家試験に合格

66歳で看護師の国家試験に合格した藤井友恵さん
66歳で看護師の国家試験に合格した藤井友恵さん

福岡県飯塚市の藤井友恵さん(66)が今年実施された看護師の国家試験に合格した。藤井さんは准看護師として介護施設で勤務しながら「看護の道を究めたい」と60歳から国家資格に挑戦。医療関係者によると、この年齢での合格は珍しく、藤井さんは「医療の勉強には終わりがない。知識を広げ、助けられる命を救いたい」と今後の勤務に意欲を見せる。

大分県日田市出身。幼いころ、車にはねられた猫の傷を母親が糸と針で縫い、「人の手で命って救えるんだ」と実感したのが看護の道を目指すきっかけになった。

都道府県知事が認定する准看護師の免許を取得し、病院や福祉施設で勤務してきた。3人の子育てや親の介護が落ち着いたとき、もう一度学び直し、国家資格を取得して正看護師になると思い立った。

学ぶ意欲を高めたのは、勤務していた病院で触れた家族の絆だった。忘れられないのは約20年前に起きた交通事故。亡くなった女子高校生の靴の片方が病院に残され、しばらく保管していると、生徒の母親が「うちの子が最後に履いていた靴を探している」と訪れた。藤井さんが靴を差し出すと母親は靴を抱きしめ、涙を流した。

「家族の思いに接するたびに命の尊さを実感した。治療の指示を出すのは医者だが、患者の容体の変化にいち早く気づけるのは看護師。人を助けるためには知識が必要」と藤井さんは語る。

58歳から看護専門学校の通信課程で学び直し、受験に挑んだが、記憶力の衰えを痛感することもあった。仕事や孫の世話をしながらの挑戦でもあり、勉強時間が取れない時期もあったが、メモ帳を持ち歩いて何度も見返し、試験前は睡眠時間を削って机に向かった。看護師を目指す若い友人の励ましも受け、6度目の受験で合格した。

藤井さんは、次の目標に終末期医療や看取りケアの知識習得を掲げる。「幸せに最期を迎えたいと願う高齢者は多い。初心を忘れず、まだまだ働きたい」と気持ちを新たにしている。

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