北海道・知床半島沖の観光船「KAZU I(カズ・ワン)」の沈没事故を受け、国土交通省は11日、小型旅客船の安全対策や制度の見直しを議論する有識者検討委員会の初会合を開いた。運航事業者の参入審査のチェックや国の監査、検査の実効性を高める方策などを議論。事業者の法的規制を強化し、海上運送法や船舶安全法などの改正も視野に検討する。7月に中間とりまとめを公表する。
斉藤鉄夫国交相は会合の冒頭、「悲惨な事故が二度と起きることのないよう、安全対策の徹底的な議論をお願いしたい」と述べた。
検討委のメンバーは海事法制や安全対策に詳しい専門家や弁護士、地元観光船事業者の代表ら14人で構成。委員長には一橋大の山内弘隆名誉教授が就いた。
国交省によると、初会合では委員から「安全を軽視する事業者は撤退してもらうことが重要」との指摘や小型船舶の免許制度の在り方を問う声、抜き打ち検査で実効性を担保すべきだとの意見があったという。
事故は4月23日に知床半島西側で発生。これまでに14人の死亡が確認されたが、同28日を最後に不明者の発見は途絶え、残る12人の行方は分かっていない。