国連事務総長、欧州最貧国モルドバ支援呼びかけ 難民受け入れ「最も貢献」

国連安全保障理事会でロシアによるウクライナ侵攻について発言するグテレス事務総長=5日、米ニューヨーク(ゲッティ=共同)
国連安全保障理事会でロシアによるウクライナ侵攻について発言するグテレス事務総長=5日、米ニューヨーク(ゲッティ=共同)

【ニューヨーク=平田雄介】国連のグテレス事務総長は10日、ロシアが侵攻したウクライナの隣国モルドバでサンドゥ大統領と会談し、ウクライナ難民受け入れに人口比で最も貢献する寛大さに感謝し、欧州最貧国の一つであるモルドバへの支援を呼びかけた。グテレス氏は「モルドバの独立と主権、領土の一体性を尊重する」とも述べ、同国の親露派支配地域で懸念される露軍介入を牽制(けんせい)した。

国連難民高等弁務官事務所によると、ウクライナ国外へ避難した難民は9日までに591万7000人。このうちモルドバの受け入れ数は45万7000人で、同国の推計人口264万人(親露派支配地域を除く)の17・04%にあたる。受け入れ人数が最多のポーランドでも人口比は8・55%。モルドバでは一般家庭が難民の95%を受け入れており、グテレス氏は「大きな心を持った小さな国」とたたえる。

一方で、モルドバは「ウクライナ隣国で最も脆弱(ぜいじゃく)な国」(グテレス氏)でもある。ドニエストル川東岸のウクライナと国境を接する親露派支配地域「沿ドニエストル」では4月、不審な爆発事件が相次ぎ、露軍がロシア系住民「保護」を口実に介入するのではないかとの警戒が高まった。

経済面でも、グテレス氏は今回の侵攻はモルドバに「壊滅的な影響」を与えるとみる。モルドバ経済はウクライナとロシアからの食糧やエネルギー、商品の輸入に依存してきた。世界銀行は侵攻に伴うサプライチェーン(供給網)寸断などで「最も打撃を受ける国の一つになる」と分析する。

国際通貨基金(IMF)の見通しでは、モルドバの消費者物価は今年21・9%上昇する。新型コロナウイルス禍による人口10万人当たりの死者数(9日時点)は世界平均79・4人を大きく上回る285・8人。

ロシアとベラルーシを除くウクライナ隣国の難民受け入れ国の中で、モルドバは唯一、欧州連合(EU)への加盟が実現していない国でもある。グテレス氏は9日の会見で「EU加盟国が享受する支援をモルドバは受けられない」と指摘したうえで、「難民を寛容に受け入れるモルドバは支援に値する国だ」と訴えた。

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