対露制裁案めぐりEU分裂 東欧、足並み乱れ

フォンデアライエン欧州委員長(AP)
フォンデアライエン欧州委員長(AP)

【ロンドン=板東和正】ロシア産原油や石油精製品の禁輸を提案した欧州連合(EU)の追加制裁案をめぐり、東欧諸国で足並みの乱れが目立っている。親ロシアのハンガリーが反発し、露産エネルギーに依存するチェコやスロバキアは早期の禁輸に及び腰だ。EUは首脳らの説得を急ぐが、制裁案の内容で譲歩を迫られる可能性もある。

EUのフォンデアライエン欧州委員長は4日、ロシアに対するEUの追加制裁案として、露産原油の輸入を6カ月以内に禁止するよう提案した。石油精製品については、年内の輸入禁止を求める方針だ。

制裁が実行に移されるには、加盟国の全会一致が必要だが、ハンガリーのオルバン首相が「一線を越えた措置だ」として反発。同国のシーヤールトー外相も「ハンガリーのエネルギー供給体制が破壊される」として「(ロシアから)パイプラインで運ぶ原油が禁輸対象から外れなければ、制裁案に同意できない」と条件をつけた。

ハンガリーのオルバン政権はロシアと関係が深く、同国内で消費する原油と石油精製品の6割近くをロシアから輸入していることなどが制裁反対の背景にある。

フォンデアライエン氏は9日、オルバン氏とハンガリーの首都ブダペストで制裁案について協議。フランスのマクロン大統領も10日、オルバン氏との電話会談で、対露制裁を受け入れるよう説得したが、合意に至らなかったもようだ。

フォンデアライエン氏は協議後、ツイッターで「(合意に向けて)進展はあったが、さらなる取り組みが必要だ」と投稿した。

ロイター通信によると、露産原油などの依存度が高いチェコのフィアラ首相は4日、ロシア以外とのパイプラインの能力増強のため、禁輸を実施するまで2~3年の猶予期間を設けるよう求める考えを示した。スロバキアも1年超の禁輸の猶予措置を要求する方針だ。

EUはこうした国々との妥協点を探るため、制裁案の内容を修正するとみられる。ロイターなどの情報では、修正案は大半の加盟国に2022年末までに、露産の原油と石油精製品を禁輸するよう求める一方、ハンガリーとスロバキアに24年末までの輸入を容認。チェコについても同年6月まで輸入の継続を認める見通しだ。また、EU当局者は、他の加盟国から原油を輸送するパイプラインを整備させるため、3カ国に多額の資金を投じる案も検討している。

近く申請が予想される北欧フィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟をめぐっても、加盟国のハンガリーが反対する可能性が指摘されており、ロシアの脅威に向けた欧州諸国の結束が試される。

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