不適切な船舶運航業者排除へ実効性の担保課題

知床遊覧船事故対策検討委員会に出席する有識者=11日午後、東京都千代田区(斉藤佳憲撮影)
知床遊覧船事故対策検討委員会に出席する有識者=11日午後、東京都千代田区(斉藤佳憲撮影)

海の安全を守り、悲劇を繰り返さないために何ができるのか。北海道・知床半島沖の観光船「KAZU I(カズ・ワン)」の沈没事故を受け、国土交通省は11日、小型旅客船の安全対策や制度の見直しを議論する有識者検討委員会の初会合を開いた。事故後、運航会社「知床遊覧船」による恒常的な運航基準違反の疑いが次々と浮上。「安全管理規程」が事業者の申告任せで、形骸化していた実態が明らかになった。国のチェック機能に疑問符が付く中、気象条件など地域性も考慮した新たなルールと安全文化を構築することが求められる。

東京・霞が関の国土交通省に11日、海事法制や安全対策に詳しい専門家や弁護士、地元観光船事業者の代表ら委員14人と国交省の幹部らが集まった。

「被害者家族の声を直接伝えたい。『事業者は安全を軽視していたのではないか』『再発防止を徹底してほしい』との指摘を受けている」。現地で対応に当たり、オンラインで参加した渡辺猛之国交副大臣は会合の冒頭、こう力を込めた。

会議は非公開で行われたが、国交省によると、各委員からさまざまな意見が寄せられ、中でも安全を軽視してきた運航会社の姿勢を問う声が相次いだという。

関西大の安部誠治教授(交通政策論)は「事故が起きた際に特別監査をする以外に再発防止策がないのが現状。監査の限界を補う仕組みを考えていく必要がある」と強調する。

国交省北海道運輸局は昨年6月、座礁など2件の事故を起こした知床遊覧船に特別監査を実施。安全管理規程の徹底や運航中の見張り強化を行政指導したが、結果的に26人の死者・行方不明者を出す事故を未然に防ぐことはできなかった。

検討委の議論の焦点となるのは、監査や行政処分の在り方、船舶の設備要件や法規制の強化などだ。安部教授は「不適切な事業者を業界から排除させる仕組みを構築しなければならない」と指摘する。15人が死亡した平成28年の長野県軽井沢町のスキーバス事故後の対応が参考になるという。国交省は覆面調査や事業許可の5年更新制を導入。罰則を強化した改正道路運送法も施行された。

ただ、陸と海では事情が異なる。検討委の初会合では、ある委員から「全国統一のルールと地域別のルールをつくるべきだ」との考えが示された。地域や季節で気象条件などが異なり、「沖縄と北海道では地域性が違う」(委員)ためだ。

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